佐山検校(読み)さやまけんぎょう

朝日日本歴史人物事典 「佐山検校」の解説

佐山検校

没年元禄7.2.14(1694.3.9)
生年:生年不詳
江戸前期の地歌箏曲家。狭山とも記す。名は本一。寛文6(1666)年,検校柳川検校門弟と伝えられ,同門の浅利検校と共に江戸で活躍。『律呂三十六声麓之塵』(1732)によれば,三味線組歌本手組のモロバチ(上から下に撥をおろす普通の弾き方と下からすくい上げるスクイバチをつなげて弾く)が当時の人の好みに合わないと考え,破手組のカタバチ(スクイバチをつなげずに弾く弾き方)から工夫した長歌を創始した。「木遣」「雲井弄斎」「恋衣」「桜尽」「小夜衣」「冬草」など,彼の作曲した長歌12曲の歌詞が『松の葉』(1703)に収録される。「砧」「三段獅子」なども作曲。一説に11月14日没とも。

(野川美穂子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佐山検校」の意味・わかりやすい解説

佐山検校
さやまけんぎょう

[生]?
[没]元禄7(1694).11.14.
盲人の地歌三弦家。都名 (いちな) は本一。寛文6 (1666) 年検校登官。柳川検校に師事。浅利検校とともに江戸の名人として知られた。三味線組歌破手組『片撥』の奏法を発展させ,地歌三弦に「長歌」の新様式を創始したともいわれ,その作品は『雲井弄斎』『木遣』『小夜衣』『桜尽し』『冬草』など今日でも演奏される名曲である。ほかに手事物『三段獅子』や三弦器楽曲『きぬた』などの作品がある。江戸長唄杵屋勘五郎の師ともいわれるが,実証はない。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「佐山検校」の解説

佐山検校 さやまけんぎょう

?-1694 江戸時代前期の地歌演奏・作曲家。
江戸で山本てう一に師事,寛文6年検校。柳川検校の門人ともいう。長歌(ながうた)物を創始し,「松の葉」に「若緑」「桜尽し」「冬草」など12曲が収録されている。元禄(げんろく)7年2/11月14日死去。名は本一(ほんいち)。

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世界大百科事典(旧版)内の佐山検校の言及

【砧】より

…【竹内 道敬】(4)地歌・箏曲の曲名。佐山検校(?‐1694)作曲の三弦曲および生田検校作曲と伝えられる箏曲を源流とする。砧の擬音的表現を主題とする4段構造の器楽曲で,能とは無関係。…

【地歌】より

…現在では,京都の伝承は6曲ほどのみであるが,大阪では32曲のすべてが伝承され,表組,破手組,裏組,中組,奥組に分類される。 カタバチの奏法によって,組歌形式でなく,1曲が統一的な主題で一貫される新歌曲を創始したのは,江戸の佐山検校(?‐1694)であった。その新歌曲も,元禄期には組歌と同様に伝承上の規範曲とされ,これを〈長歌〉と称した。…

※「佐山検校」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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