体部白癬(斑状小水疱性白癬/たむし/ぜにたむし)(読み)たいぶはくせんはんじょうしょうすいほうせいはくせんたむしぜにたむし(英語表記)Ringworm of the Body

家庭医学館 の解説

たいぶはくせんはんじょうしょうすいほうせいはくせんたむしぜにたむし【体部白癬(斑状小水疱性白癬/たむし/ぜにたむし) Ringworm of the Body】

[どんな病気か]
 手のひら、足底(そくてい)、頭髪部、太ももの内側、陰嚢(いんのう)を除く皮膚にできる白癬のことです。「股部白癬(頑癬/いんきんたむし)」の股部白癬(こぶはくせん)と合わせて生毛部白癬(せいもうぶはくせん)ともいいます。同じ手や足でも、手足の甲(こう)にできるのは体部白癬、足底と手のひらなら足白癬(あしはくせん)と手白癬(てはくせん)になります。これは足底や手のひらは角質が数倍厚く、毛孔(もうこう)がないなど、他の皮膚と性質が異なり、病気の性質や治療法が異なるため区別しているのです。
 原因菌は猩紅(しょうこう)色菌が多く、ときにイヌ・ネコなどのペットから感染する犬小胞子菌(いぬしょうほうしきん)がみられます。猩紅色菌の感染はあらゆる年齢層におこりますが、犬小胞子菌の感染は子どもと女性に多く、おとなの男性への感染はまれです。
[症状]
 最初小さな丘疹(きゅうしん)ができ、しだいに周囲に輪状に広がります(遠心性拡大という)。輪の部分は丘疹や小水疱(しょうすいほう)など炎症症状が強く、赤みが明瞭(めいりょう)ですが、中央部は軽い鱗屑(りんせつ)が残る程度で、治ったようにみえます。これを中心治癒傾向(ちゅうしんちゆけいこう)といいます。
 犬小胞子菌によるものは露出部に多く、小さな病変がたくさんできるのが特徴です。副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)薬を塗ると、中心治癒傾向がなく、体部白癬の特徴がなくなります。そのため、異型白癬といわれます。顔面にできる体部白癬によくみられます。
 いずれも、貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)、ジベルばら色粃糠疹(いろひこうしん)、環状紅斑(かんじょうこうはん)、尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)などの類似した病気との鑑別が大事です。
[治療]
 診断がつけば治療は比較的簡単で、皮膚の清潔と乾燥を心がけ、外用抗白癬剤を3~4週間塗布(とふ)して治します。
 猩紅色菌の感染は、足白癬の合併があれば同時に治すことがたいせつです。犬小胞子菌の感染ではペットの白癬を調べますが、成犬成猫(せいびょう)は、皮膚病はなくても糸状菌を保菌していることがあるため、注意が必要です。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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