精選版 日本国語大辞典 「何とも」の意味・読み・例文・類語
なに‐とも【何とも】
① どういうものとも(…しない)。どうとも(…でない)。
※枕(10C終)一四九「さる言ふかひなき物にて、なかなかなにとも見えず」
② (命令表現を伴って用いて) どうとでも。なんとでも。
※徒然草(1331頃)一二五「何とも候へ、あれほど唐の狗に似候なんうへは」
[2] 〘副〙
① (否定表現を伴って) 事態や発言の実質に対して、全く意に介さないさまを表わす。別にたいしたこととも(思わない)。格別重要なこととも(考えない)。
※宇治拾遺(1221頃)一五「この渡り、なにともして渡してんや」
③ ある事態がどう見てもそう名状するしかない、という感情を表わす。まったく。どうも。いかにも。なんとも。
※日葡辞書(1603‐04)「Nanitomo(ナニトモ) メイワクニ ゴザル」
④ 同類のものを、格別特定することなく列挙するときに用いる。…やなにかも。…なども。
⑤ どのようにでも。自由自在に。
なん‐とも【何とも】
〘副〙 (「なにとも(何━)」の変化したもの)
① 事物・事態を非選択的に指示する。どのようにも。どんなものでも。
※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「Nantomo(ナントモ) アレカシ、ドウシン イタスマイ」
② 否定的表現に用いて、問題としないさま、また、形容すべきものに思い当たらないさまを表わす。
※史記抄(1477)一一「いかなる人も死するほどに、死をばなんとも不思ぞ」
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