余事(読み)よじ

精選版 日本国語大辞典 「余事」の意味・読み・例文・類語

よ‐じ【余事】

〘名〙
ほかのこと。そのこと以外の事。他事。
※前田本水鏡(12C後)中「極楽に生事いと難く覚え然ば、偏に余事を捨て、物云事を留て」
煤煙(1909)〈森田草平〉二六「隅江と同じ事を憂ひ同じ事を喜んで、一切の余事を忘れることが出来た」
余力でする事。余暇にする仕事
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉四「職業を以て本分となし、これに由て生計を做んことを欲す。故に芸文を以て余事となせり」 〔漢書‐叙伝・上〕

あまり‐ごと【余事】

〘名〙
① 余分なこと。行き過ぎたこと。
今昔(1120頃か)五「象許(ばかり)に乗て糸(いと)善かりつるを、師子(しし)に乗るが余り事にて有る也」
② 過分なこと。あまりに都合のいいこと。
※枕(10C終)八七「昨日の夕ぐれまで侍りしは、いとかしこしとなん思う給ふる。今日まではあまりことになん」

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デジタル大辞泉 「余事」の意味・読み・例文・類語

よ‐じ【余事】

本筋以外の事柄。他事。「余事には全く関知しない」
本業以外に余力や余暇でする仕事。
「職業を以て本文となし、…芸文を以て―となせり」〈中村訳・西国立志編
[類語]事物事象物事現象出来事余所よそ他事他人事人事ひとごと雑事諸事事件時事事柄事故異変大変急変変事大事だいじ大事おおごと小事細事些事世事俗事私事しじ私事わたくしごと用事珍事不祥事アクシデントハプニングセンセーション

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普及版 字通 「余事」の読み・字形・画数・意味

【余事】よじ

余分の事。清・燮〔画に題す〕石濤、畫を善くす。蓋(けだ)しり、竹は其の餘事なり。板橋燮)は專ら竹を畫(ゑが)くこと五十餘年、他物を畫かず。彼はきを務め、我は專らなるを務む。安(いづく)んぞ專のに如(し)かざるを見んや。

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