作況予報(読み)さっきょうよほう

改訂新版 世界大百科事典 「作況予報」の意味・わかりやすい解説

作況予報 (さっきょうよほう)

主要農作物作柄について逐次公表される予報イネ,麦類,いも類,豆類などの主要作物の収穫量調査は,標本筆(耕地),特定筆の実測調査および任意に選んだ農家の郵送調査・面接調査・巡回調査を行い,各作物の10a当りの収量推定し,作付面積を乗じて実収量を推定・算出する。その場合,収穫期以前の諸時期に生育段階に応じて作柄の概況を調査して,作況の予想(予報)を行う(収穫量の場合は予想収穫量となる)。米・麦については,古く1886年より全国的に,近年では主要果樹についても主要生産地で,調査・公表を行っている。水稲については,7月15日,8月15日,9月15日,10月15日現在の作柄概況調査と10月15日現在の予想収穫量調査,収穫期の収穫量調査を計5回行い,うち8月15日,9月15日,10月15日現在の調査結果を公表する。公表月日は調査月日より10日前後遅れる。調査方法は,選ばれた作況標本筆について時期別に調べるが,8月15日にはたとえば水稲の穂数,9月15日にはもみ数,10月15日にはもみ重の調査などを行い,収穫期には坪刈りなどを行う。このほか,現地巡回調査,作況試験調査結果などを参考とする。

 作況予報をする場合に用いる作況指数は,調査時の〈作柄の良否を表す指標〉とされており,通常,10a当りの平年収量に対する10a当りの予想収量の比率,すなわち,10a当り予想収量/10a当り平年収量×100として算出する。公表をする場合,普通作物では作況指数が99~101を〈並み〉,102~105を〈やや良〉,106以上を〈良〉,98~95を〈やや不良〉,94以下を〈不良〉として,作柄の良否を表す。作況指数は調査時によって変わってゆくのがふつうである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「作況予報」の意味・わかりやすい解説

作況予報
さっきょうよほう

農林水産省が作物の収穫高を収穫期前に推定して,これを公表すること。農家の経済設計の指針となるものであるとともに,国全体の食糧政策立案のうえにも重要で,この点からも早期に正確な予報が行われることが必要である。日本では,第2次世界大戦直後の食糧不足時代には大きな意義があり,1947年頃から農林省によって全国的組織がつくられ,予報が行われるようになった。

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