作者年中行事(読み)さくしゃねんじゅうぎょうじ

改訂新版 世界大百科事典 「作者年中行事」の意味・わかりやすい解説

作者年中行事 (さくしゃねんじゅうぎょうじ)

歌舞伎作者の職掌などを記した書。三升屋二三治(みますやにそうじ)著。1848年(嘉永1)成立。5巻。江戸中期に確立された江戸歌舞伎作者の職掌,制度,慣習,心得などを,著者の経験や見聞のままに正月から月日を追いながら詳細に記している。四之巻後半以後には古今の作者の略伝,作者・役者逸話言行が加えられている。古来の江戸歌舞伎作者の式法を同時代または以後の作者に伝えるという意図を持った著作と見られる。他書に見られぬ記事も多く,作者研究上貴重である。本書原本または写本として伝えられたようであるが,現在は未確認。《珍書刊行会叢書》第4冊,《日本庶民文化史料集成》第6巻に翻刻。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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