侍中群要(読み)じちゅうぐんよう

改訂新版 世界大百科事典 「侍中群要」の意味・わかりやすい解説

侍中群要 (じちゅうぐんよう)

平安中期の有職書。侍中は蔵人(くろうど)の唐名で蔵人の職掌に関することを記したもの。橘広相の撰との説があるが,これは誤りで,文中に記される年号人名から,11世紀後半以降の成立と考えられる。10巻から成り,新任の蔵人の作法からはじまって,蔵人の日常的な仕事,恒例・臨時の雑事および諸儀式における職掌・礼節・蔵人方の人事等々に及び,蔵人および蔵人所にかかわるすべての事柄について詳細に記述されている。またこの書の特色の一つは各事項に関する種々の説を〈式〉〈家〉〈懐〉〈草〉〈草長〉等の標目を立てて列記することである。〈式〉が天暦蔵人式の引用であるという説や〈家〉が平親信の系譜を引く人物の手になるものとの説が出されている。今日では散逸してしまった寛平・天暦等の蔵人式の逸文を多く含む。《続々群書類従》所収。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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