価・値(読み)あたい

精選版 日本国語大辞典 「価・値」の意味・読み・例文・類語

あたい あたひ【価・値】

〘名〙 (相当する意の動詞「あたう(能)」の名詞形か。一説に「あた(当)あひ(合)」の変化した語という)
① その物のねうちに匹敵し、相当するもの。
※彌勒上生経賛平安初期点(850頃)「六銖の値(アタヒ)は、沙婆世界に直(あ)ふ」
② ねだん。代金。また、ねだんに相当する金銭。
書紀(720)斉明五年七月(北野本訓)「高麗の使人、羆皮(しくまのかは)一枚を持て、称其価(アタヒはかりて)曰はく」
今昔(1120頃か)四「直(あたひ)を不限(かぎら)ず玉を買ひ取て、本の寺の仏に返し奉り給て、盗人をば免(ゆる)しつ」
③ 労力に相当する報酬。その金銭または代物。
※地方凡例録(1794)四「無人の百姓は、度々やくに出ては、耕作の勤なりがたく、是非なく日傭を出し、或は村役人へ価を出し、是がために在々の困窮かぞへがたし」
④ ねうち。価値
徒然草(1331頃)九三「一日の命、万金よりも重し。牛のあたひ、鵝毛よりも軽し」
俳諧・佐夜中山集(1664)「価(あたひ)あらば何かをしまの秋の景〈宗因〉」
⑤ (値) 数学で、文字や関数の表わす具体的な数をさす。文字Aが種々の数を表わしうるとき、何らかの仕方でそのうちの一つが指定されたならば、それをAの値という。また、関数 f(x) によって x の値 a に対応する数を f(x) の a における値という。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕

あたい‐・する あたひ‥【価・値】

〘自サ変〙 あたひ・す 〘自サ変〙 その価値が他の特定事物に相当する。一般に、「…に値する」の形で、それだけのねうちがあるの意に用いる。
※嚼氷冷語(1899)〈内田魯庵〉「批評を値(アタ)ひする傑作が無い」
※藤鞆絵(1911)〈森鴎外〉「さういふのは、却て同情に価(アタヒ)する」

あたえ あたへ【価・値】

〘名〙 「あたい(価)」の変化した語。
※かた言(1650)三「価(あたひ)を あたへ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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