価格監視(読み)かかくかんし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「価格監視」の意味・わかりやすい解説

価格監視
かかくかんし

物価上昇の要因としては,需給のアンバランスと生産・流通コストの上昇があげられる。前者に対しては,財政・金融政策による需要のコントロールや,輸入を含む供給の増加,後者に対しては,労働生産性の向上や,賃金などの所得抑制によるコストの抑制が対策となる。さらに全体として適正な価格決定が行なわれるように,規制緩和など競争政策を推し進め,またインフレ心理による価格上昇の波及を防ぐためには,公共料金の抑制や重要物資の価格安定などを必要とする場合もある。その際,民間における個別物資の価格決定に介入するようなハードな対策に対し,ソフトな手段としては価格監視があげられる。対象品目について実際の価格がどうなっているかを定期的に調べることを通じて,不当な値上げが行なわれることのないように,小売業者に心理的な抑制効果が働くことを期待する対策である。日本では,生活必需物資について,内閣府の国民生活モニター,経済産業省の消費者価格モニター,農林水産省の食料品消費モニターや地方公共団体による価格調査が毎月行われており,価格監視の役割を果たしている。特に原油価格上昇,円高などの外的ショック,消費税導入など制度的要因によって価格が大きく変動する場合には,こうした価格監視が便乗値上げを防ぐ有効な手段の一つである。

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