保健室登校(読み)ほけんしつとうこう

百科事典マイペディア 「保健室登校」の意味・わかりやすい解説

保健室登校【ほけんしつとうこう】

学校には登校するものの,児童生徒が学校にいる時間の大半保健室で過ごすこと。財団法人日本学校保健会では,保健室登校を〈常時保健室にいるか,特定授業には出席できても学校にいる間は主として保健室にいる状態〉と定義している。1997年現在,保健室登校をしている児童は,1万人に対して小学生で2人,中学生で6人,高校生で1人といわれ,年々増加傾向にある。 学校生活のなかでの不安やいじめ,家庭環境の影響など,なんらかの原因で教室への登校を拒否する児童・生徒に対しては,養護教諭カウンセラーが保健室を拠点に指導にあたる。一対一の関わりから始め,次第に保健室の外とのつながりをつくり,最終的には教室に復帰できることを目的としている。〈心の避難場所〉である保健室を,教室登校の準備の場,学級担任への橋渡しの場,児童の心理的成長の場ととらえるわけである。学級担任,友だち,保護者など,周りの協力が不可欠。→登校拒否スクールカウンセラー

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「保健室登校」の意味・わかりやすい解説

保健室登校
ほけんしつとうこう

学校には行くが教室で授業は受けず、保健室で過ごすこと。文部科学省統計によれば、2005年(平成17)、30日以上学校を休んだ不登校児童・生徒は小学生2万3000人(児童総数の0.3%)、中学生10万人(生徒総数の2.8%)で、この数値はここ数年ほとんど変化していない。それだけに、登校中ストレスを感じたときに保健室に避難する、あるいは、保健室に登校した後教室に顔を出す、そうした形で保健室は不登校児にとっての居場所としての機能を果たしている。その反面、養護教員が過重負担に陥っているとの指摘もなされている。

[深谷昌志]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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