修正鬼会(読み)しゅしょうおにえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「修正鬼会」の意味・わかりやすい解説

修正鬼会
しゅしょうおにえ

大分県国東(くにさき)半島の六郷満山(ろくごうまんざん)(天台宗の諸寺院)に伝わる修正会(しゅしょうえ)の行事。「~おによ」「~おにお」ともよばれ、修正会に種々の芸能的行法(ぎょうぼう)が付随するところに特徴がある。かつては隆盛を極めていたが、いまは旧正月7日に天念寺岩戸(いわとう)寺、旧正月5日に成仏寺のみで行われる。養老(ようろう)(717~724)のころ、国東六郷満山の開基仁聞菩薩(にんもんぼさつ)が国家安穏、五穀豊穣などの諸願成就(じょうじゅ)のため「鬼会式」6巻を下賜(かし)されたことに始まるとの言い伝えがある。行事の大要岩戸寺の例でみると、読経ののちコーリトリ(水垢離(ごり))、盃(さかずき)の儀、タイアゲ(大松明(たいまつ)の火入れ)などの儀式を済ませ、夜の行法に入る。「米華(まいけ)」より立役(たちやく)の法舞の所作となり、立役の後半に男女の鈴鬼(すずおに)、ついで荒鬼(あらおに)(災払鬼(さいはらいおに))・鎮鬼(しずめおに)の二鬼が登場。この三鬼は村落内の家々を訪れ、家内安全祈祷(きとう)を行ったのち寺に戻り、鬼後咒(きごじゅ)という鬼鎮め作法で夜明け近くに行事のすべてが終了する。重要無形民俗文化財

高山 茂]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「修正鬼会」の意味・わかりやすい解説

修正鬼会
しゅじょうおにえ

大分県北東部,国東半島にある岩戸寺,成仏寺(→国東市),天念寺(→豊後高田市)で行なわれる修正会。鬼が登場することから修正鬼会と呼ばれる。原則として,天念寺では毎年,岩戸寺では西暦偶数年の旧正月7日,成仏寺では西暦奇数年の旧正月5日に行なわれる。かつては国東半島に点在する六郷満山の天台宗寺院各寺で行なわれていた。寺ごとに若干の違いがあるが,僧侶による読経や香水棒などを用いた舞のあと,2人の僧が扮した鈴鬼が登場し,その後,やはり僧が扮した災払鬼(さいはらいおに)と荒鬼(天念寺),または災払鬼と鎮鬼(しずめおに。岩戸寺),あるいは災払鬼,荒鬼,鎮鬼(成仏寺)が現れて激しく舞い踊り,参集の人々の一年の無事を祈って松明でたたくなどの行事をする。天念寺では,これで終わりとなるが,岩戸寺と成仏寺では,災払鬼と鎮鬼,荒鬼が,松明を持ったタイレシ(松明入れ衆)とともに集落の家々を回り,人々の無病息災を祈りもてなしを受ける。鬼は,仏の化身または先祖が姿を変えたものといわれている。国指定重要無形民俗文化財。

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デジタル大辞泉プラス 「修正鬼会」の解説

修正鬼会(しゅじょうおにえ)

大分県の国東半島に伝わる民俗行事。豊後高田市長岩屋の天念寺および国東市国東町の岩戸寺で旧暦の1月に行われる。正月の鬼走り行事と火祭り行事が組み合わさった神事で、福をもたらす仏の化身である鬼が、松明を手に境内を巡り災厄を祓う。1977年、国の重要無形民俗文化財に指定。

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