偽籍(読み)ギセキ

デジタル大辞泉 「偽籍」の意味・読み・例文・類語

ぎ‐せき【偽籍】

古代調をのがれたり口分田班給を有利にしたりするため、戸籍を偽ること。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「偽籍」の解説

偽籍
ぎせき

戸籍に虚偽の記載がなされること。律令制では,調庸(ちょうよう)・力役・兵役賦課,口分田(くぶんでん)の班給はすべて人民の基本台帳である戸籍にもとづいて行われたため,虚偽の申告による諸負担の忌避と口分田の不正受給が企図された。たとえば性別年齢を偽ったり,死亡者の除帳を行わないなどの方法によって,8世紀末には課口減少・不課口増大の傾向が顕著となっている。現存する平安時代の戸籍は,偽籍の実情をよく示しているが,背後には農民側の不正を助長するような国郡司の動きもみられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「偽籍」の意味・わかりやすい解説

偽籍
ぎせき

とくに古代律令(りつりょう)体制下において、戸籍や計帳の記載内容を偽って申告すること。口分田(くぶんでん)が男女を問わず班給されるのに対して、調庸が成年男子にしか課せられぬところに着目した農民の課役忌避手段の一つである。主として年齢や性別を偽るものであるが、軽微な偽籍はともかく、いかにも不自然な家族構成がみられるので、戸籍・計帳作成にあたる国の官人たちの協力黙認がなければ、とうていとりえない手段であったといえよう。

[福岡猛志]

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