(読み)フ

デジタル大辞泉 「傅」の意味・読み・例文・類語

ふ【傅】[漢字項目]

[音]フ(呉)(漢)
おもり。もり役。養育係として、そばに付き添う。「傅育師傅

ふ【×傅】

律令制で、皇太子指導をつかさどった役。東宮傅

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「傅」の意味・読み・例文・類語

かしずき かしづき【傅】

〘名〙 (動詞「かしずく(傅)」の連用形の名詞化)
① 親や親代わりの者が、子を大切に養い育てること。後見として大切に世話をやくこと。庇護者として手厚い保護を加えること。愛護
源氏(1001‐14頃)桐壺「やもめ住みなれど、人ひとりの御かしづきに、とかくつくろひ立てて」
② かしずく人。付き添って世話をする人。介添役。後見。
書紀(720)持統一一年二月(北野本訓)「直広壱当麻真人国見を以て、東宮(みこのみや)の大傅(オホキカシツキ)と為」
歌舞伎で、乳母などの役を演じる役者がかぶるかつら
※新時代用語辞典(1930)〈長岡規矩雄〉歌舞伎用語「かしづき 乳母などに扮する女形(をやま)の用ひる鬘」

かしず・く かしづく【傅】

〘他カ四〙
子供などを、大切にして守り育てる。大事にして育て上げる。愛育する。
伊勢物語(10C前)四五「人のむすめのかしづく、いかでこのをとこに物いはむと思ひけり」
② 大切にして世話をする。後見をし、大切にする。人などを大事にまもり扱う。また、自動詞的に、主人として大事に仕える。
※源氏(1001‐14頃)帚木伊予の介、かしづくや。君と思ふらむな」
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後「究竟(つまり)二人の夫に冊(カシヅ)かなければならぬのである」

ふ【傅】

〘名〙
① かしずくこと。付き添うこと。また、その人。もりやく。かしずき。
令制で、東宮の職員一つ。皇太子の補導をつかさどるもの。東宮傅。〔令義解(718)〕

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【乳母】より

…平安時代中期以降,天皇の乳母は典侍となる例が多い。【玉井 力】 平安中期以降貴族中心に乳母が養育に重点をおいて盛行するにともない,その夫である乳母夫(めのとぶ)も役割の同一性から乳母とよばれ,さらに貴人の子の養育にあたる男性一般をも,傅の字を用いながら,〈めのと〉とよぶようになった。乳母,傅は,武士が社会的に成長する平安後期以降は武家の間にもひろまった。…

※「傅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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