光華寮問題(読み)こうかりょうもんだい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「光華寮問題」の意味・わかりやすい解説

光華寮問題
こうかりょうもんだい

中国と台湾双方が,京都にある中国人留学生のための寮 (光華寮) の所有をめぐって,自国の正統性を争っている事件。光華寮は 1950年以来台湾政府の所有であったが,67年に同政府は,一部居住者が秩序を乱していることを理由に明渡しを要求,居住者はこれを拒否し,訴訟に発展した。 77年の京都地裁判決では,72年の日本と中国との国交樹立で,台湾は当事者能力を失ったとして台湾側が敗訴。その後 78年に大阪高裁は台湾側の所有権を認めたことで中国側の反発を呼んだ。 86年,あらためて京都地裁は「日本は台湾とは断交したものの,同政府は依然一部地域を実効支配している」として,台湾の財産である光華寮が国家承認の変更によってただちに中国に移るものではないとの見方を示した。

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