全体性(読み)ぜんたいせい(英語表記)totality

翻訳|totality

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「全体性」の意味・わかりやすい解説

全体性
ぜんたいせい
totality

一個の事物あるいは事象が,一つのまとまりをもち,さらに細かい部分に割ることによってその特質が失われてしまうようなとき,そこにみられる独自の構造や機能上の特性をいう。全体性が重視されるようになったのは,全体を単なる部分の構成物として理解する,原子論的な機械的分析方法への批判がなされた 19世紀以降のことであり,社会学における社会有機体説心理学でのゲシュタルト理論などもこれにあたる。しかしこの全体性は,部分の存在や意義を否定するものではなく,全体は部分を超越した実在であるとしても,それは各部分の有する特質を土台とした相互依存関係によって生み出された統一体であると理解される。社会体系という概念が使用されるようになったのも,「全体と部分」という古くて新しい問題を解明するためである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android