全身の病気と内耳の障害(読み)ぜんしんのびょうきとないじのしょうがい

家庭医学館 「全身の病気と内耳の障害」の解説

ぜんしんのびょうきとないじのしょうがい【全身の病気と内耳の障害】

 内耳には、聴覚(ちょうかく)や平衡感覚(へいこうかんかく)をつかさどる感覚細胞(かんかくさいぼう)があって、これを養うために多量の血液が流れてきています。
 とくに、聴覚をつかさどる蝸牛(かぎゅう)には、腎臓(じんぞう)と同じような構造をした血管が集合し、多量の血液が流れてきています。
 もし、内耳へ流れてくる血液量が減少したり、内耳の血管に障害がおこったりすると、内耳全体が影響を受けます。
 高血圧、糖尿病動脈硬化(どうみゃくこうか)などの成人病は、全身の血管系を障害しますが、その一環として、内耳の血管も障害を受けます。しかし、これらによる血管障害は、ゆっくりと進行するために内耳の障害も緩慢に進行し、気づかれることはほとんどありません。
 また、蝸牛の血管系は腎臓の血管の構造と似ているため、腎臓病も内耳に影響します。とくに遺伝性の腎臓病には内耳性難聴(ないじせいなんちょう)が高率に合併します。
 そのほか、インフルエンザおたふくかぜはしかなどのウイルスによる全身の病気も、内耳に障害をおこすことがあります。また、梅毒(ばいどく)による内耳障害は、メニエール病のように発作(ほっさ)をくり返しながら難聴が進行していきます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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