八丈実記(読み)はちじょうじっき

精選版 日本国語大辞典 「八丈実記」の意味・読み・例文・類語

はちじょうじっき ハチヂャウ‥【八丈実記】

江戸後期の地誌。近藤富蔵著。嘉永元年(一八四八)に起稿し、安政二年(一八五五)に原形完成。その後も大幅な訂正加除を行なう。八丈島について、その地理沿革貢税島人方言土産社寺船舶海島などを詳述した総合的地誌。

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改訂新版 世界大百科事典 「八丈実記」の意味・わかりやすい解説

八丈実記 (はちじょうじっき)

近藤富蔵守真(1805-87)が著した幕末の八丈島の地誌。全69巻のほか拠巻と称する稿本が残る。富蔵は北方探検家近藤重蔵の長男で,殺人罪を犯して1827年(文政10)流刑にあい,島で生活するうち八丈島に深い愛着をもつようになった。48年(嘉永1)ころから島内の古文書,古記録を精査し,自分の見聞を加えて地理,沿革,貢税,土産,船舶などの編にまとめあげ,58年(安政5)ころに一応完成したとみられる。著者が博覧強記であるうえに古文献を数多く写しており,青ヶ島鳥島小笠原諸島八丈小島の歴史・民俗にもふれている大著である。原本は東京都公文書館蔵。
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百科事典マイペディア 「八丈実記」の意味・わかりやすい解説

八丈実記【はちじょうじっき】

近藤重蔵の長子近藤富蔵〔1805-1887〕の著した八丈島および,青ヶ島鳥島,八丈小島,小笠原諸島に関する詳細な地方誌。69巻。富蔵は1826年父のために人を切って翌年八丈島に流され,1880年赦免されたが島への愛着から生涯をここで過ごした。

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日本歴史地名大系 「八丈実記」の解説

八丈実記
はちじようじつき

七冊 八丈実記刊行会編

原本 東京都公文書館

解説 殺傷事件を起こした近藤重蔵の子富蔵が八丈島に流罪となった際に著した地誌。八丈島の概況を各種文献や自らの見聞に基づき記した。文久元年草稿が完成し翌年に「八丈実記略」を著した。明治になり東京府は富蔵の多くの著作を借用・購入し、新たに「八丈実記」を再編した。

活字本 昭和三九―五一年

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