八木隆一郎(読み)やぎりゅういちろう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八木隆一郎」の意味・わかりやすい解説

八木隆一郎
やぎりゅういちろう

[生]1906.4.17. 秋田
[没]1965.5.12. 東京
劇作家本名財一郎。 1924年函館商業学校卒業。 34年上京して東京左翼劇場,のち新築地劇団文芸部に入る。 36年 11月,しいたげられたアイヌとすさんだ街の女が心を寄せ合うまでを描いた『熊の唄』が井上正夫演劇道場によって上演され,脚光を浴びた。以後,『海の星』 (1948初演) ,『母の絵本』 (39) ,『故郷の声』 (46) ,『女の決闘』 (49) ,『湖の声』 (56) など,下積みの人々にあたたかな愛情を注いだ多くの作品を,新派をはじめ商業演劇に提供。著書に『八木隆一郎ラジオ・ドラマ選集』 (52) ,『八木隆一郎戯曲選集』 (66) その他がある。 NHK放送文化賞受賞 (53) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「八木隆一郎」の意味・わかりやすい解説

八木隆一郎
やぎりゅういちろう
(1906―1965)

劇作家。本名財一郎。秋田県能代(のしろ)市生まれ。初め小説を書くが1930年(昭和5)に左翼劇場文芸部に入り、のち新築地(つきじ)劇団にも参加した。36年に『能の唄(うた)』を井上正夫の演劇道場で上演以後、井上の中間演劇運動を作品面で支えた。第二次世界大戦後、新派や新国劇に『故郷の声』『幻の宿』『湖の声』などを書いて、商業演劇に新風をもたらした。シナリオラジオドラマの分野でも活躍した。

大笹吉雄

『『八木隆一郎戯曲選集』(1966・牧羊社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「八木隆一郎」の解説

八木隆一郎 やぎ-りゅういちろう

1906-1965 昭和時代の劇作家。
明治39年4月17日生まれ。左翼劇場,新築地劇団に所属。昭和11年から中間演劇のために「熊(くま)の唄」や「海の星」などをかく。戦後は「湖の娘」などを新派や新国劇のためにかきおろし,シナリオやラジオドラマも手がけた。昭和40年5月12日死去。59歳。秋田県出身。函館商業卒。本名は財一郎。

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世界大百科事典(旧版)内の八木隆一郎の言及

【土】より

…貧しい小作農勘次が,妻をなくしたあと,娘おつぎとともに労働に明け暮れつつも生活苦にあえぐ姿を,祖父卯平との不仲,地主との関係のなかで描いていく。シナリオは八木隆一郎,北村勉。配役は勘次が当時内田吐夢作品の常連であった小杉勇,おつぎが新人の風見章子,卯平が日活の名優山本嘉一。…

※「八木隆一郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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