八端織(読み)ハッタンオリ

デジタル大辞泉 「八端織」の意味・読み・例文・類語

はったん‐おり【八端織(り)/八反織(り)】

《1反が普通のの8反の重さに相当するところからいう》練り糸を用いて、縦・横に褐色と黄色の縞模様を表した厚地絹織物丹前や布団地などに用いる。綾糸織り。

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改訂新版 世界大百科事典 「八端織」の意味・わかりやすい解説

八端織 (はったんおり)

絹織物の糸織の一種。略して八端とも呼ぶ。語源八丈絹の綾地の帯織が,8反ずつ機掛けしたところからこの名があるとされる。また江戸時代,1811年(文化8)に黒色,とび色,黄色の縞の上品が作られ,1反が8反に相当して貢納したところからともいわれる。諸糸を経糸に,五倍子(きぶし)の増量をほどこした片撚糸を緯糸に用いた先染織物。山形斜文,破斜文などの組織でやや厚め,色合いは茶や黄の縞,格子が多く,増量のため独特の渋さをもつ。着尺,羽尺として桐生八王子,米沢などで盛んに織られた。現在は郡内(山梨県都留地方)で織り継がれ,夜具地,ざぶとん地,丹前地として生産されているが1955年ころを頂点として減少。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八端織」の意味・わかりやすい解説

八端織
はったんおり

八端ともいう。縦,横に褐色,黄色の縞模様のある絹織物。現在の東京都八王子市の福田福太郎が 1873年に伊豆八丈縞を模した綾織を製作し,八反織と称して売出し,のちに八端織と改名したものとされている。男物着尺地や兵児帯地として盛んな売行きを示したが,明治中期に衰退した。大正初期,大阪の中村源七が着尺地として八端織の再興に努めたが,第1次世界大戦後,粗製濫造がたたり,1920年頃滅亡に近い状態になった。現在は化学繊維を混紡したものが多い。

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百科事典マイペディア 「八端織」の意味・わかりやすい解説

八端織【はったんおり】

絹織物の一種。略して八端とも。練糸を用いた変り綾(あや)織で,山形斜文または破れ斜文に織る。桜皮色の地に黄や黒の縞(しま)や格子が多かったが,多色で化繊交織のものもつくられるようになった。やや厚地でおもに丹前,ふとん,座ぶとんにする。産地は八王子,桐生,米沢などであるが,今は少ない。

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