其処所(読み)そこどころ

精選版 日本国語大辞典 「其処所」の意味・読み・例文・類語

そこ‐どころ【其処所】

[1] 〘代名〙 他称。
① (場所を明示しないでいう) どこそこの所。
源氏(1001‐14頃)玉鬘「帰るかたとても、そこところと、いき着くべき古里もなし」
② その点。そこのところ。そこどこ。
※歌舞伎・四十七石忠矢計(十二時忠臣蔵)(1871)二幕「そこ所(ドコロ)あなたのお取持故、お取結びにならぬと申す事もござりますまいが」
[2] (下に否定反語表現を伴って用いる) とてもその程度ではないという意を強めていう語。それどころ。そこどこ。
浄瑠璃日高川入相花王(1759)三「懐中より開いて指出す願ひ書き。ヱヱそこ所じゃないわいの。そっちよりこっちに助けて貰ひたい」

そこ‐どこ【其処所】

[1] 〘代名〙 =そこどころ(其処所)(一)②
※そめちがへ(1897)〈森鴎外〉「三谷色気がないうちが妙だといへば、兼吉がそこ処(ドコ)は受け合はれませぬ」
[2] 〘名〙 =そこどころ(其処所)(二)
※滑稽本・素人狂言紋切形(1814)下「『寒さんをおぶって見な、直に押つぶされる。〈略〉』『なるほどそこもあるの』『そこ所(ドコ)命勝負だ』」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「其処所」の意味・読み・例文・類語

そこ‐どころ【×処所】

[名](あとに打消しの語を伴って用いる)それどころ。
「娘は―で無いから頻りに迫る」〈風葉青春
[代]中称の指示代名詞
どこそこの所。
「―ともなくいみじく苦しくし給ひて」〈・若菜下〉
そのところ。その点。
「―はあなたのお取持故、お取結びにならぬと申す事もござりますまいが」〈伎・四十七石忠矢計〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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