デジタル大辞泉
「兼ねる」の意味・読み・例文・類語
か・ねる【兼ねる】
[動ナ下一][文]か・ぬ[ナ下二]
1 一つで二つ以上の働きをする。
㋐一つの物が二つ以上の働きを合わせもつ。一つの物が二つ以上の用をする。「大は小を―・ねる」「書斎と応接間とを―・ねた部屋」
㋑一人が二つ以上の職を受け持つ。他の仕事も合わせ行う。兼任する。「首相が外相を―・ねる」「商用を―・ねて上京する」
2 一方だけでなく、他方まで考える。遠慮する。はばかる。「気を―・ねる」
「母親が兄の手前を―・ねて折り折り痛く𠮟ることがあり」〈独歩・春の鳥〉
3 将来のことまで考える。予想する。予定する。
「八百万千年を―・ねて定めけむ奈良の都は」〈万・一〇四七〉
4 他の動詞の連用形に付いて用いる。
㋐…しようとして、できない。…することがむずかしい。「納得し―・ねる」「何とも言い―・ねる」
㋑(「…かねない」などの形で)…するかもしれない。…しそうだ。「悪口も言い出し―・ねない」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の兼ねるの言及
【歌舞伎】より
… 中期以降しだいに一人一役柄の原則が崩れ,文化文政のころになると,一人の役者がいくつもの役柄を兼ねて演じ分けることを良しとする風潮さえ生まれた。3世中村歌右衛門から,〈兼ねる〉というのを名優の名誉ある称号であるとすることも始まった。現在では,その俳優の芸風や人柄(にん)(容姿をもとにした芸域),年齢などによっておのずから制約はされるものの,そのかぎりではいくつかの役柄の役を兼ねる例が多い。…
※「兼ねる」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」