精選版 日本国語大辞典 「兼」の意味・読み・例文・類語
か・ねる【兼】
〘他ナ下一〙 か・ぬ 〘他ナ下二〙
[一]
① 二つ以上を合わせる。合わせ持つ。
※金剛般若経讚述仁和元年点(885)「故に、行、両種の見を詠(カネ)たり」
② 主となることのついでに他のことをも合わせおこなう。特に、本務以外に他の仕事も合わせてつとめる。兼任する。
③ 将来の事をも考慮に入れる。予定する。予想する。あらかじめ心配する。
※万葉(8C後)一四・三四一〇「伊香保ろの岨(そひ)の榛原ねもころに将来(おく)をな加禰(カネ)そ現在(まさか)し善かば」
④ 遠慮する。気がねをする。
※曾我物語(南北朝頃)六「虎は又、十郎が心をかねて衣ひきかづきうちふしぬ」
① …し続けることができない。…しようとしてもできない。
※万葉(8C後)一・七二「玉藻(たまも)刈る沖へは漕がじしきたへの枕のあたり忘れ可禰(カネ)つも」
※源氏(1001‐14頃)帚木「隈なきものいひも、さだめかねていたくうちなげく」
② ⇒かねない(兼━)
けん【兼】
〘名〙
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉八「通弁兼(ケン) Clerk (書記)の職に就きぬ」
が・ぬ【兼】
〘他ナ下二〙 (補助動詞として用いられる) 「かぬ(兼)」の上代東国方言。…するにたえない。
※万葉(8C後)一四・三四四二「東路(あづまぢ)の手児(てご)の呼坂(よびさか)越え我禰(ガネ)て山にか寝むも宿りはなしに」
けん‐・す【兼】
〘他サ変〙 (「けんず」とも) 兼ねる。兼任する。あわせ持つ。
※平家(13C前)二「右衛門督を兼して、検非違使の別当になり給ふ」
か・ぬ【兼】
〘他ナ下二〙 ⇒かねる(兼)
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