内得(読み)ないとく

精選版 日本国語大辞典 「内得」の意味・読み・例文・類語

ない‐とく【内得】

〘名〙 役職を利して取る利得役得
日葡辞書(1603‐04)「Naitocuno(ナイトクノ) フカイ ヒト」

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改訂新版 世界大百科事典 「内得」の意味・わかりやすい解説

内得 (うちとく)

内徳とも書く。〈内之得分〉の略称室町・戦国期の近江越前美濃など畿内周辺諸国の田畠売券や寄進状などにしばしば現れる用語で,〈名(みよう)之内得〉〈名内得分〉などと表現され,多くの場合名主(みようしゆ)の私的得分である加地子(かじし)分を指し,売買などで移動した。越前西福寺文書の1515年(永正12)2月9日付春庾田地売券は,平内名(みよう)所属の田地2反を売却したものであるが,それには名の内得分を売るのであるから,本役などは自分(名主)の方で負担するので,この田地には万雑公事(まんぞうくじ)は一切かからない旨記されている。これは美濃竜徳寺文書の1489年(延徳1)12月21日の九郎右衛門下地売券に,この地は〈私持分秋延名之内加地子〉を売るので,年貢のほかに万雑公事の負担はないと記すのと同じで,内得分には年貢負担はあるが諸公事はかからないというのが通例であった。
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