家庭医学館 の解説
ないじえんういるすによるないじしょうがい【内耳炎/ウイルスによる内耳障害 Otitis Interna / Viral Labyrinthitis】
内耳に炎症または感染がおこる病気です。
耳鳴(みみな)りに、内耳性感音難聴(ないじせいかんおんなんちょう)とめまいをともなうこともありますし、それぞれが単独に現われることもあります。
難聴は、徐々に進行するもの、急激に悪化するもの、突然聞こえなくなるものなどいろいろで、難聴の程度も、日常生活に支障のない軽度から、まったく聞こえない聾(ろう)までさまざまです。
めまいは、回転性のもの、動揺感(どうようかん)や浮動感(ふどうかん)程度のもの、発作(ほっさ)性のもの、持続性のものなど一様ではありません。
いずれのめまいも一過性のもので、必ず回復します。
[原因]
内耳に隣接する臓器の病変が波及する場合と、血行を介してウイルスが感染する場合があります。
隣接臓器の病変では、慢性化膿性中耳炎(まんせいかのうせいちゅうじえん)、真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)などの慢性の病気のほか急性中耳炎も原因になります。
この場合、急性の病気からおこった内耳炎の難聴は回復しますが、慢性の病気からおこった内耳炎の難聴は、徐々に進行して聴力(ちょうりょく)の回復が望めません。
血行を介しての感染では、おたふくかぜ、インフルエンザ、はしか、耳(みみ)ヘルペスなどの原因ウイルスが内耳炎の発症に関係します。
はしかからおこった内耳炎の難聴は両側におこることが多く、しかも高度で、回復が望めません。そのほかの感染症からおこった内耳炎の難聴はほとんどが片側におこり、程度は軽度から高度までいろいろですが、聴力の予後は必ずしもよくありません。
[治療]
隣接臓器からの内耳炎は、炎症を治療し、機能回復のために神経賦活剤(しんけいふかつざい)、血流改善剤(けつりゅうかいぜんざい)、ビタミン剤、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬などを使って治療します。慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎は、手術が必要です。
ウイルス性の場合は、内耳の保護と機能回復のための治療が行なわれます。