内閣使節団構想(読み)ないかくしせつだんこうそう(英語表記)Cabinet Mission Scheme

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内閣使節団構想」の意味・わかりやすい解説

内閣使節団構想
ないかくしせつだんこうそう
Cabinet Mission Scheme

1946年5月 16日,イギリスの C.アトリー内閣によりインドに派遣された内閣使節団が発表した,主権譲渡のための具体的提案。使節団は同年3月ニューデリーに到着,国民会議派やムスリム連盟の指導者と意見を交換し,5月初めにシムラで会議を開いた結果,以下の構想を発表。 (1) イギリス領インドと藩王国から成るインド連邦をつくり,連邦は外交国防,通信を掌握する。連邦は行政府と議会を設ける。 (2) 上記3事項以外は州の権限とし,各州に行政府と議会を設ける。 (3) 州議会を母体として,各州の宗派別人口比率に基づいて制憲議会議員を選出する。この制憲議会は ABCの3群 (地域連合) に分れる。各群はまず州憲法を作成,次いで必要とあれば群の憲法を作成,最後に全員で連邦憲法を作成する。 (4) 主要政党の連立によって中間政府を早期に発足させる。この構想に対して会議派は6月 25日の運営委員会で,中間政府の宗派別構成に難色を示しながらも,受諾を決定。一方,連盟は6月6日にいったん受諾を決定したが,7月下旬にこれを撤回。以後事態はインド,パキスタンの分離独立へと進展していった。 (→直接行動の日 )  

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