円転滑脱(読み)エンテンカツダツ

デジタル大辞泉 「円転滑脱」の意味・読み・例文・類語

えんてん‐かつだつ〔ヱンテンクワツダツ〕【円転滑脱】

[名・形動]
言動が角立たず自由自在なこと。動きが滑らかなこと。また、そのさま。「円転滑脱話術
ろくろ首踊りはますます―となり」〈谷崎・幇間〉
物事にこだわらないこと。また、そのさま。「円転滑脱人柄

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精選版 日本国語大辞典 「円転滑脱」の意味・読み・例文・類語

えんてん‐かつだつ ヱンテンクヮツダツ【円転滑脱】

〘名〙 (形動) 言動が自在に変化して、物事が滞りなく進行すること。また、そのさま。人との応対などがかどだたず巧みなこと。また、そのさま。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三「南海弁の円転滑脱調子が如何にも柔弱に」

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四字熟語を知る辞典 「円転滑脱」の解説

円転滑脱

言動が自在に変化して、物事が滞りなく進行すること。また、その様子。人との応対などがかどだたず巧みなこと。また、その様子。

[活用] ―な・―に。

[使用例] 隔てなどというものは爪の垢程もなく、円転滑脱、多くの客を相手にして、更にそれを外さぬという風[田山花袋*春潮|1903]

[使用例] 円転滑脱の鈴木君も一寸狼狽の気味に見える[夏目漱石吾輩は猫である|1905~06]

[使用例] 各界各派の審査員がテーブルについていたが、大田氏はその誰ともそつなく挨拶を交わし、冗談をとばし、笑いあって、円転滑脱の様子であった[開高健*裸の王様|1958]

[解説] 大学を出たての青年たちが、那須塩原にある男爵屋敷に招かれた時のこと。出迎えた夫人は、「暑かったでしょう」とか「けいちょうざんにはもう登りましたか」とか、実に愛想よく応対してくれます。客に対して気持ちの隔てが少しもない。その様子が「円転滑脱」だと、例文の[春潮]には書かれています。
 ここからわかるように、このことばは、社交的で、うまく会話する人の様子を表すのによく使われます。[吾輩は猫である]の鈴木君も、[裸の王様]の大田氏も、社交的で話し上手な人です。
 もっとも、元の意味は違います。「円転」は丸く回ること。「滑脱」は滑っていくこと。両方合わせて、物事がなめらかに運んでいく様子を言います。
 日常語で、そんな様子を表す二字のことばがあります。そう、「円転滑脱」とは、つまり、「円滑」ということです。
 そこで、「円転滑脱」は、会話の名手以外の場合にも使われます。「筆の運び方が円転滑脱」「表現が円転滑脱」など。これらも「円滑」に置き換えられます。

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