冕冠(読み)べんかん

精選版 日本国語大辞典 「冕冠」の意味・読み・例文・類語

べん‐かん ‥クヮン【冕冠】

〘名〙 天子天皇皇太子大礼の時に着用した礼冠。冠の上部五色珠玉を貫いた糸縄を垂らした冕板(べんばん)をつけたところからいう。冕。
西宮記(969頃)一七「冕冠 〈略〉太子著九章冕冠也」 〔後漢書‐輿服志・下〕

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デジタル大辞泉 「冕冠」の意味・読み・例文・類語

べん‐かん〔‐クワン〕【×冕冠】

天皇や皇太子が大儀の際に着用した冠。上部に冕板べんばんとよばれる長方形板状のものをのせ、その前後に5色の珠玉を連ねた糸状の飾りを垂らした。玉冠。冕。

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普及版 字通 「冕冠」の読み・字形・画数・意味

【冕冠】べんかん(くわん)

王侯貴族の礼装用の冠。〔後漢書、輿服志下〕冕冠は(りう)を垂れ、後に(えん)(冕の上部のおおい)を(ふか)くして、玉五彩(そう)、十二)あり。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「冕冠」の意味・わかりやすい解説

冕冠
べんかん

礼冠 (らいかん) の一種で天皇がかぶったもの。推古 11 (603) 年に制定された冠位十二階によって決められた。唐制を模倣した冠で,冠の周囲に5色の飾り玉が垂れ下がり,玉冠,天冠ともいった。

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世界大百科事典(旧版)内の冕冠の言及

【礼服】より

…《西宮記》によれば天皇冕服は,赤の上衣(女帝の場合は白)に日,月,星辰,山,竜,華虫(雉子(きじ)),宗彝(そうい)(酒器),の7章が,下衣の(ひらみ)には藻,火,粉米(ふんべい)(白米),黼(斧),黻(ふつ)(己形の相そむく形)の5章が五彩の糸で刺繡(ししゆう)されている。これを袞冕(こんべん)十二章と称し,頭には十二旒(りゆう)の白玉を垂下させた冕冠をかぶった。732年(天平4)正月,即位後の聖武天皇が初めて冕服を着用して受朝したとある。…

※「冕冠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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