写し絵(読み)ウツシエ

デジタル大辞泉 「写し絵」の意味・読み・例文・類語

うつし‐え〔‐ヱ〕【写し絵】

景色人物などを描き写した絵。写生画
「是は誠の鯉、―とはさらさら思はれず」〈浄・双生隅田川
映し絵

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「写し絵」の意味・わかりやすい解説

写し絵
うつしえ

動く幻灯のこと。江戸の寄席(よせ)芸人として著名な、うつしゑ都楽(とらく)が創始者である。享和(きょうわ)(1801~04)のころに都楽が、オランダエキマン鏡という眼鏡を種にしてビードロ(ガラス)に彩色の絵をかき、自由自在に動かして見せたことが『武江年表』にみえる。関根黙庵(もくあん)著『講談落語今昔譚(たん)』には、都楽の最初の寄席出演が1803年(享和3)3月で、写し絵が大評判となり、1852年(嘉永5)に73歳で没したことが記されている。写し絵や影絵は江戸時代の大衆芸能としては異色のものだが、明治時代には両川亭船遊(りょうかわていせんゆう)、玉川文楽などがその芸を継承し、2代目玉川文楽は写し絵の伝統を昭和の時代にまで伝えた。

[関山和夫]

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