冷凍運搬船(読み)れいとううんぱんせん

改訂新版 世界大百科事典 「冷凍運搬船」の意味・わかりやすい解説

冷凍運搬船 (れいとううんぱんせん)

一般におもな積荷である食料品の品質保持のために冷蔵設備を有する船舶。その種類を大別すると冷蔵専用運搬船と多目的冷凍運搬船がある。冷蔵専用運搬船は漁場より凍結魚類の凍蔵運搬を目的とする。倉内の保蔵温度は-25~-30℃であるが,マグロなどの刺身用魚類の場合には-50℃にも達する。冷蔵専用運搬船は片航路のみの積荷が多いので,経済性の面から往航は一般貨物および自動車などを,復航には青果物,酪農品および冷凍魚肉を積載し,3国間をおもに運航する。近年多目的冷凍運搬船が多く建造され,多目的のため保蔵温度は-30~15℃と幅が広い。これらの運搬船は漁場より漁獲物を運搬する場合は漁船法が適用されるので,漁船および貨物船としての設備と資格をもつ船が多い。船型は船倉容積を大きくするために船尾機関型が一般である。船倉容積は総トン数3500トンで約17万立方フィート(約4800m3),7000トン級で約30万立方フィート(約8500m3)であり,3~4倉にくぎる。倉内は冷却の熱損失防止のため完全な防熱設備がなされている。荷役設備には船倉間のデリック,倉内のフォークリフトがあるが,漁場で荷役を行う仲積船などは倉内天井に移動クレーンをもつ場合もある。冷凍機は2段高速多気管冷凍機またはスクリュー冷凍機で,冷媒アンモニアよりフレオン-22が多く用いられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「冷凍運搬船」の意味・わかりやすい解説

冷凍運搬船
れいとううんぱんせん

冷蔵運搬船

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世界大百科事典(旧版)内の冷凍運搬船の言及

【フリゴリフィコ】より

…南アメリカで〈冷凍工場〉をいう。語源はアルゼンチンに到着した冷凍船第1号〈ル・フリゴリフィックLe Frigorifique〉に由来する。ヨーロッパ市場をおもな輸出市場とする19世紀の食肉貿易において,南半球の牧畜産品輸出国は赤道越えという不利な条件を抱え,冷凍船実用化以前は食肉を乾肉,塩漬肉として輸出していた。冷凍船は1870年代にフランスで発明され,80年イギリスで実用化された。アルゼンチンでは82年に最初の冷凍肉工場が建設され,その後地場企業に加えてイギリスやアメリカ資本が冷凍業に進出,それが19世紀末以降の冷凍肉輸出を急増させ,牧畜業の発展を支える主要因となった。…

※「冷凍運搬船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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