凍瘡(読み)トウソウ(英語表記)chilblain 英語

デジタル大辞泉 「凍瘡」の意味・読み・例文・類語

とう‐そう〔‐サウ〕【凍×瘡】

冷たい空気に長時間さらしたために皮膚血行障害が起こり、手足・耳などの皮膚が赤紫色にはれる症状しもやけ

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精選版 日本国語大辞典 「凍瘡」の意味・読み・例文・類語

とう‐そう ‥サウ【凍瘡】

〘名〙 しもやけ。凍傷。《季・冬》 〔医語類聚(1872)〕 〔石室秘籙‐凍瘡〕

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六訂版 家庭医学大全科 「凍瘡」の解説

凍瘡
とうそう
Chilblain
(皮膚の病気)

どんな病気か

 いわゆる「しもやけ」で、寒冷による血行障害が原因で起こります。

 寒冷にさらされた直後には静脈動脈が収縮していますが、そのあとに動脈は静脈よりも早く拡張します。そのため、動脈は拡張しているのに静脈は収縮している状態が起こり、組織内に滲出液(しんしゅつえき)炎症起因物質がもれて炎症や浮腫(ふしゅ)(むくみ)が起こると考えられています。

症状の現れ方

 手の指、足の指や耳が赤くはれます。患部が全体に紫がかった赤色になって腫脹(しゅちょう)する樽柿型(たるがきがた)と、環状に赤くなる多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはんがた)の2種類があります。

検査・治療の方法

 特別な検査は必要ありません。

 ビタミンEなどの血行促進薬を内服すると効果的です。また、ヘパリノイドなどの血行促進外用薬も有効です。

予防と応急処置

 寒冷に対する対策として、厚い靴下をはく、手袋や耳当てをするなどの注意が必要です。入浴時にマッサージをしたり、患部をお湯と水で交互に刺激することもよいでしょう。

堀川 達弥

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「凍瘡」の意味・わかりやすい解説

凍瘡
とうそう
chilblain 英語
Frostbeule ドイツ語

いわゆる「しもやけ」のことで、気温3℃前後の際にもっとも生じやすいといわれる。一定の素因(体質)のある人に、凍結するほどでない寒冷刺激のため、皮膚の血管が収縮し血流がうっ滞する。この状態においては、動脈側の血管収縮は長く続きにくく、しばらくたつと血管が拡張してしまい、血液の成分が漏出し、赤く腫(は)れるために生じる。自覚症状としてかゆみがあり、暖まるとその激しさを増す。学童および思春期に好発し、男性に比し女性に多くみられ、晩秋から初冬にかけてと、終冬から早春にかけての季節の変わり目に頻発する。好発部位は凍傷と同様で、手足の指の末端、手足の背面、耳たぶ、鼻の頭、頬(ほお)などの末端露出部位である。症状としては、紫藍(しらん)色の浮腫(ふしゅ)性潮紅(ちょうこう)を主徴として樽柿(たるがき)様の外観を示す樽柿型と、皮膚面よりやや隆起し爪(つめ)の広さほどの大きさの淡紅色ないし暗赤色の境界明確な紅斑(こうはん)の散在を主徴とし、ときに水疱(すいほう)を伴う多形滲出(たけいしんしゅつ)性紅斑型がある。樽柿型は温度較差が大きいときに生じやすく、幼小児に多くみられる。多形滲出性紅斑型は低温に長時間さらされたときに生じやすく、年長者に多くみられる。

 凍瘡にかかりやすい人は、血行を妨げないように大きめの手袋、靴下などを早めに用いて保温に努め、手足のマッサージ、温浴などを行って血行をよくする。寒気とともに湿気が凍瘡を生じやすくするので、水仕事や雪遊びのあとは乾いた布で水けをよくふき取る。靴の中が湿らないようにすることもたいせつである。ビタミンEなど血行をよくする内服薬および外用薬が有効である。

[伊崎正勝・伊崎誠一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「凍瘡」の意味・わかりやすい解説

凍瘡
とうそう
chilblain; pernio

俗にしもやけという。寒冷 (0~5℃程度) による末梢循環障害で起る皮膚病変で,発症には体質的要因以外に低蛋白血症も関与するものと思われる。症状により多形滲出性紅斑型とびまん型に大別される。前者は浮腫性の環状紅斑が四肢末梢,肘頭,膝蓋部などに生じ,かゆみを伴うことが多い。後者は紫紅色の浮腫状の腫脹で,ときに水疱,びらん,潰瘍化がみられる。四肢末梢,耳介などに好発する。

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改訂新版 世界大百科事典 「凍瘡」の意味・わかりやすい解説

凍瘡 (とうそう)

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百科事典マイペディア 「凍瘡」の意味・わかりやすい解説

凍瘡【とうそう】

しもやけ

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世界大百科事典(旧版)内の凍瘡の言及

【霜焼け】より

…医学的には凍瘡(とうそう)pernioという。手足,耳たぶ,鼻の先端,ほおなどが寒気に繰り返しさらされ,末端部の血液循環障害が起こるために発生する。…

【凍傷】より

…低温による損傷の一種。低温による損傷には,(1)局所の循環障害による凍瘡(とうそう)(霜焼け),(2)組織の凍結による凍傷,および(3)全身的反応による凍死がある。損傷を起こす温度は必ずしも氷点以下とは限らず,湿度,風速,金属など熱良導体との接触の有無などにも左右され,また個体の栄養状態,年齢,疲労度,低温にさらされる時間も関与してくる。…

※「凍瘡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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