出力(原子炉の)(読み)しゅつりょく/げんしろのしゅつりょく

知恵蔵 「出力(原子炉の)」の解説

出力(原子炉の)

熱出力と電気出力の2種類ある。熱出力は、単位時間当たりの原子炉発熱量。電気出力は、この熱エネルギーによってできた蒸気タービンを回して生じる電力。電気出力の熱出力に対する割合が熱効率(%)。熱出力を一定にして運転した場合、タービン入り口の蒸気圧力は季節に影響されず一定になるが、タービン出口側にある復水器内の圧力は夏に比べ冬は下がる(海水温度低下による)。タービン入り口と出口の圧力差がより大きくなれば、熱効率は上がる。原発の熱効率は火力より低く、30%程度。残りは廃熱となる。原発の規模を示す設備容量には、フル稼働時の電気出力が使われる。標準的な沸騰水型では110万kW、改良型沸騰水型では135万kW。最新の加圧水型は120万kW。2007年3月末の日本の商業用原発は55基、総設備容量4958万kWで、米、仏に次いで世界3位。世界では国際原子力機関(IAEA)調べで06年12月末現在、435基3億6886万kWが稼働中で、建設中は28基。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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