出水山地(読み)いずみさんち

改訂新版 世界大百科事典 「出水山地」の意味・わかりやすい解説

出水山地 (いずみさんち)

紫尾(しび)山地ともいう。鹿児島県の北西部に位置する山地。東北東~西南西の方向にのび長さ約35km,南北約15km。地質大部分が四万十(しまんと)層群であるが,中央部には花コウ岩があり,それを取り囲んで接触変成岩が分布している。全体として起伏が大きく,急峻であり,最高峰は中央部の紫尾山(1067m)である。この山地の北側には出水平野が位置しており,両者断層で境されている。そのため南北の交通を妨げ,国道3号線と鹿児島本線(現,肥薩おれんじ鉄道)は天草灘に面する急崖下を通っている。林業が盛んで,特にヒノキの植栽面積が広い。薩摩川内せんだい)市と出水市にはパルプ工場があり,またかつては多数の製材工場があったが,外材の割合が大きくなるにつれて,鹿児島市への移転が多くなった。山麓に紫尾,湯川内(ゆがわち),白木川内などの温泉があり,紫尾山周辺の川内川流域県立自然公園とともに行楽の地となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「出水山地」の意味・わかりやすい解説

出水山地
いずみさんち

鹿児島県の北西部に横たわる山地。紫尾山地(しびさんち)ともいう。川内川(せんだいがわ)流域と、出水平野を分け、北部で熊本県水俣(みなまた)市との境界をなす。約400~1100メートルの高度で、出水平野を抱え込むような形で連なる。山地の最高点は南側の紫尾山で1067メートル。山地の北側は安山岩類、東、南側は主として四万十(しまんと)層群からなり、紫尾山を含む山体は花崗(かこう)岩類で形成されている。南北の交通を妨げ、自然、人文の境界をなしている。山地の中央を国道328号、447号、504号、西部を3号と肥薩(ひさつ)おれんじ鉄道が走る。また、出水平野は、これら山地から供給された堆積(たいせき)物による扇状地が主体。ツルの渡来地として知られる。

[塚田公彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「出水山地」の意味・わかりやすい解説

出水山地
いずみさんち

別称紫尾山地。鹿児島県北西部の地塁山地。最高点は紫尾山 (1067m) で出水平野大口盆地の分水界をなす。森林が多く,北斜面に湯川内 (ゆがわち) ,白木川内,南西斜面に紫尾,宮之城の各温泉がある。川内川 (せんだいかわ) 流域は川内川流域県立自然公園に属する。

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