出直(読み)でなおり

精選版 日本国語大辞典 「出直」の意味・読み・例文・類語

で‐なおり ‥なほり【出直】

〘名〙
芸娼妓一人の客を送りだして、すぐに別の客の席に出ること。
洒落本・仕懸文庫(1791)二「おきくさんはでなほりだよ〈でなほりとは、すぐに外のきゃくへだした事なり〉」
芸者が、約束の時間が過ぎた後も、なお望まれて留まること。
※君の名は(1952‐54)〈菊田一夫〉四「『出直り』だからといって、あながち実家でくすぶっていなくてはならないものと、決ってはいないであろう」
取引で、底値から再び元の相場に引き返すこと。

で‐なお・す ‥なほす【出直】

〘自サ五(四)〙
① いちど家に引き返して、改めてまた出かける。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「もう納豆売は出直(デナホ)して、金時売りに来る時分だア」
最初からやり直す。
浄瑠璃嫗山姥(1712頃)二「小田巻とやらくだ巻とやら光りはくはぬ出なをしゃ」
虞美人草(1907)〈夏目漱石〉四「又最初から出直さうとして」

で‐なおし ‥なほし【出直】

〘名〙
① 最初からやり直すこと。
浮世草子・人倫糸屑(1688)淫乱「細々でなをしのならぬものなれば」
天理教で、死ぬことをいうことば。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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