出者(読み)でもの

精選版 日本国語大辞典 「出者」の意味・読み・例文・類語

で‐もの【出者】

〘名〙
① 江戸後期の遊里通言で、冷遇される客。また、広く、のけ者にされる人。
洒落本・禁現大福帳(1755)「殊外(きつう)女郎高直に買(かふ)堕馬髻(デモノ)なり」
② 厚かましく、出しゃばる人。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 能で、扮装(ふんそう)して舞台に出る役。登場人物。
風姿花伝(1400‐02頃)二「殊更、出物にならては神といふ事はあるましけれは」
④ 刑を終えて牢から出てきた者。出獄者。
※雑俳・柳多留‐四(1769)「なめかたをしてはるやつは出もの也」

しつ‐な‐もの【出者】

〘名〙 (「しつ」は「しゅつ(出)」の変化したもの) 厚かましい人。さしでがましい人。〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「出者」の意味・読み・例文・類語

で‐もの【出者】

遊里などで冷遇される客。また、広く、のけ者にされる人。
「この六蔵はおちゃっぴい、―になって今はこのざま」〈浄・矢口渡
厚かましい人。〈日葡
能で、舞台に出る役。
「―にならでは、神といふ事はあるまじければ」〈花伝・二〉

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