出隆(読み)いでたかし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「出隆」の意味・わかりやすい解説

出隆
いでたかし
(1892―1980)

哲学者。岡山県津山に生まれる。第六高等学校を退学し代用教員を経て、ふたたび六高に入学、東京帝国大学に進む。初め言語学を専攻したが、哲学に移り桑木厳翼(くわきげんよく)の指導を受けた。卒論は「スピノザ哲学における認識の二元性」。哲学の起源を求めてギリシア哲学までさかのぼり、とくにアリストテレスを専門とし、ギリシア語原典からの本格的研究の先駆をなした。主著『哲学以前』(1922)は当時の哲学ブームにのりベストセラーとなった。1924年(大正13)東京大学助教授。1926年から1927年(昭和2)にかけてヨーロッパ留学。1935年文学博士、教授となる。戦後、1948年(昭和23)に日本共産党に入党して話題となった。

渡辺和靖 2016年8月19日]

『『出隆著作集』8巻・別巻1(1963~1973・勁草書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「出隆」の解説

出隆 いで-たかし

1892-1980 大正-昭和時代の哲学者。
明治25年3月10日生まれ。昭和10年母校東京帝大の教授となる。26年辞職して東京都知事選に立候補(落選)。アリストテレスの研究が専門で,原典によるギリシャ哲学研究に道をひらいた。ベストセラーとなった「哲学以前」で知られ,戦後共産党への入党と除名で話題となった。昭和55年3月9日死去。87歳。岡山県出身。旧姓は渡辺。著作に「ギリシヤの哲学と政治」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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