分子内の強い結合力に比べて格段に弱い分子間の力によって分子が集まって作る結晶。一般に融点が低い。この分子間の力は,気体の場合の分子間の相互作用,液体の場合の凝集力と同じものであり,温度を下げることによって結晶格子を形成する力となる。代表的な分子間力としてファン・デル・ワールス力などが知られている。飽和有機化合物や,ハロゲン分子などの結晶がこれに属し,また,不活性気体原子なども同様な分子間力による結晶を作る。結晶内で分子が鎖状に並んだもの,ねじれて並んだもの,あるいは平面状に並んだものなど,分子の配列が多様なものが多い。物理的な性質は構成分子の性質をそのまま反映するものがあるほかに,電気抵抗が一方向だけとくに低いなど,分子の配列と関係する性質がある。
執筆者:三須 明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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