分水(読み)ブンスイ

デジタル大辞泉 「分水」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐すい【分水】

[名](スル)水の流れが分かれること。また、川の流れを分けること。「分水して灌漑に使う」

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精選版 日本国語大辞典 「分水」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐ずい【分水】

〘名〙 酒、また、酔客をいう近世の通人仲間の隠語
黄表紙金々先生栄花夢(1775)上「ことに今年剃髪いたし、名をぶんずいとあらため候」

ぶん‐すい【分水】

〘名〙 流水左右に分かれること。また、流水を分けること。また、その水。
※俳諧・句兄弟(1694)下「分水はよし野の奥に時雨哉〈尺草〉」

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改訂新版 世界大百科事典 「分水」の意味・わかりやすい解説

分水 (ぶんすい)

同一水源,水系のもとで灌漑や生活などの用水を配分したり,河川氾濫を防止するため,別の流路を開鑿し放水することなどをいう。大阪府下千早赤阪村と富田林市には式内社建水分(たけみくまり)神社(上水分社)と美具久留御魂(みくくるみたま)神社(下水分社)があり,古くから石川とそれに流入する千早川,水越川などの治水や灌漑をつかさどる水分(みくまり)神祭祀されたものと思われる。このように古代から中世にかけて,取水・分水地点水路を神社や神職が支配・管掌することがみられた。中世では分水の権限が荘園領主や在地領主の側に掌握されていることが多いが,中世後期になると有力農民や郷村組織に把握されることも増加する。近世になると河川氾濫防止や灌漑,生活用水の確保,さらには舟運のための水路開鑿などの目的から,河川,湖,浦,沼などの分水路開鑿が,幕府,諸藩または豪商などによって大規模にまた数多く行われた。
用水
執筆者:

分水(旧町) (ぶんすい)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「分水」の意味・わかりやすい解説

分水
ぶんすい

新潟県の中部、西蒲原郡(にしかんばらぐん)にあった旧町名(分水町(まち))。現在は燕(つばめ)市の西部を占める地域。新信濃川(しなのがわ)分水路に沿う旧河岸場(かしば)町。1954年(昭和29)地蔵堂(じぞうどう)町を中心に、島上(しまかみ)、国上(くがみ)の2村が合併して分水町と改称。1957年分水町は大河津(おおこうづ)村の一部を編入。2006年(平成18)燕市に合併。JR越後(えちご)線と国道116号が通じ、三条・長岡市よりバスの便もある。旧役場があった地蔵堂町は、近世西川水運と寺泊(てらどまり)港との連絡河岸として重きをなし、米穀商店、鮮魚問屋、料理屋、船頭町などでにぎわい、いまも買い物街として栄えている。分水の水門付近は信濃川分水記念公園に指定され、桜の名所として花見行事のおいらん道中が名物になっている。弥彦(やひこ)山南麓(ろく)の国上は良寛(りょうかん)逸話の宝庫で、国上(こくじょう)寺の五合庵(ごごうあん)、乙子(おとご)神社など良寛遺跡が多い。

[山崎久雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分水」の意味・わかりやすい解説

分水
ぶんすい

新潟県中部,燕市南西部の旧町域。新潟平野の西部,弥彦山地の南端に位置する。 1954年地蔵堂町と島上村,国上村の2村が合体して分水町が発足。 1957年大河津村の一部を編入。 2006年燕市,吉田町と合体して燕市となった。地名は信濃川が新信濃川を分岐する地点に位置することに由来。中心集落の地蔵堂は江戸時代から信濃川水運の河港,北陸道の宿場町で,水陸交通の要地として発展。鉄鋼,金属,電気機器製造などの工業が立地。周辺では米作のほか,チューリップの球根栽培などの花卉園芸が行なわれる。東部の国上山 (くがみやま,313m) には国上寺 (こくじょうじ) ,良寛ゆかりの五合庵があり,一帯は佐渡弥彦米山国定公園に属する。水門付近はサクラの名所。

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普及版 字通 「分水」の読み・字形・画数・意味

【分水】ぶんすい

分水界。

字通「分」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の分水の言及

【分木】より

…1本の水路から,用水を二つの区域や村に分ける際にとられる技術的手段の一種で,分水点に目盛木を立て,その高さによって分水を行うのが分木である。例として滋賀県東浅井郡浅井町相撲庭(すまいにわ)の姉川北岸に取入口をもつ〈大井〉の井口に打つ分木がある。…

※「分水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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