判始(読み)はんはじめ

精選版 日本国語大辞典 「判始」の意味・読み・例文・類語

はん‐はじめ【判始】

〘名〙
室町時代将軍が就任して初めて御判御教書(ごはんのみぎょうしょ)花押を署した儀式ごはんはじめ。
大乗院寺社雑事記‐長祿二年(1458)八月九日「室町殿御判始在之、仍各令参賀
② 江戸幕府年中行事の一つ。正月三日、営中老中首席から順次に花押を自署した政務始の儀式。ごはんはじめ。

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改訂新版 世界大百科事典 「判始」の意味・わかりやすい解説

判始 (はんはじめ)

幕府行事の一つ。朝廷の吉書(きつしよ)奏の儀にならい,鎌倉幕府では役所の開設や年首,将軍代始,任官改元等にあたり,吉書始と称して,奉行が吉書を草し,清書して将軍の御前に進めて御覧に入れ,将軍が吉書に判(花押)をすえる儀が行われていた。それが室町時代になると,将軍の代替すなわち就任後に初めて吉書に判をおす儀を,とくに御判始と称して,他の吉書始と区別するようになった。御判始の儀は幕府殿中にて行われ,将軍は立烏帽子(たてえぼし)に直垂(ひたたれ)を着し,奉行が進める御教書に御判を署した。御教書の内容は主として関東諸国へ下される神事農事貢賦に関する3ヵ条を書き立てたものであった。諸役もはじめは一定していなかったが,室町中期以降になると,総奉行は摂津氏または二階堂,伊勢氏,奉行は松田氏が務めた例が多い。江戸幕府ではこれに相当する儀式はないが,毎年正月3日,年始に老中が署判を行う行事を判始と称している。
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