刺・棘(読み)とげ

精選版 日本国語大辞典 「刺・棘」の意味・読み・例文・類語

とげ【刺・棘】

〘名〙
① 植物や動物の体表にある堅くて先のとがった突起物。植物ではバラやサボテンなどにみられ、動物ではハリネズミやウニなどにみられる。きょく。
※雑兵物語(1683頃)下「麦のとげが皆つんぬけるもんだ所で」
② 竹・木などのとがった細片が人の肌につきささったもの。
※浮世草子・好色五人女(1686)四「左の人さし指に有かなきかのとげの立けるも」
③ 飲食の際、魚の小骨などが、のどに刺さったもの。
随筆耳嚢(1784‐1814)六「与風(ふと)咽吭へ其尖立」
④ 人の心を刺すようなもの。人の心を故意に傷つけようとするようなことば。
婦女の鑑(1889)〈木村曙〉一七「賞(ほむ)る様でも何処やらに刺(トゲ)ある語(ことば)察しはすれど受け流し」
[語誌](1)トゲのほかにトギという言い方もあるが、文献で見るかぎり、いずれも近世以降の新しい語形である。
(2)①の意味では、古くは、ハリ、クイ、イギなどの語形が中古ないし中世の文献に現われる。
(3)②の意味ではソゲという形もあり、近世以降の上方系文献に認められる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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