日本大百科全書(ニッポニカ) 「前川佐美雄」の意味・わかりやすい解説
前川佐美雄
まえかわさみお
(1903―1990)
歌人。奈良県生まれ。東洋大学東洋文学科卒業。1921年(大正10)佐佐木信綱(のぶつな)に師事、竹柏(ちくはく)会『心の花』に加入、新井洸(あきら)の影響を受ける。34年(昭和9)『日本歌人』を創刊、主宰。歌は幻想的ロマンチシズムを基調に、日本古典文学の精神と鋭敏で現代的な直感力、奔放な想像力を生かしている。現代歌壇への影響力は大きい。歌集に『植物祭』(1930)のほか『大和(やまと)』(1940)、『白鳳(はくほう)』(1941)、『捜神(そうじん)』(1964)、『白木黒木』(1971)など、歌論集に『短歌随想』がある。
[佐佐木幸綱]
春がすみいよよ濃くなる真昼間のなにも見えねば大和と思へ
『『前川佐美雄歌集』(1976・五月書房)』