日本大百科全書(ニッポニカ) 「剣持勇」の意味・わかりやすい解説
剣持勇
けんもちいさむ
(1912―1971)
工業デザイナー。家具やインテリアの分野で日本に真の近代化をもたらした。東京生まれ。1932年(昭和7)東京高等工芸学校卒業。商工省工芸指導所(戦後は産業工芸試験所)に入り、ここでブルーノ・タウトに啓発されたことがある。55年(昭和30)に剣持勇デザイン研究所を開いて以来の活躍は目覚ましく、つねに日本独自の文化とのかかわりのなかで近代デザインを推進させようとする姿勢を失わなかったが、日本的デザインを求めて苦悩のすえ自殺した。数多い仕事のなかで、ニューヨーク近代美術館永久保存となった「籐丸椅子(とうまるいす)」(1964)や、「京王プラザホテル」室内設計(1971)などがあげられる。作品や著述の全資料は『剣持勇の世界』(1975・河出書房新社)に収められている。
[高見堅志郎]