労農提携(読み)ろうのうていけい

改訂新版 世界大百科事典 「労農提携」の意味・わかりやすい解説

労農提携 (ろうのうていけい)

労働者階級と勤労農民層とが共通の要求に基づいて共同闘争を展開すること。これに対し,〈労農同盟〉は,革命によって人民権力を獲得するための労働者階級と農民層の政治的な同盟のことで,階級的前衛政党の指導のもとで独占資本の支配に反対する統一戦線基軸となる。革命論の立場からは,〈労農提携〉は〈労農同盟〉の一つの実践的形態と考えられ,さまざまな提携の積上げのなかで強固な同盟が形成される。第2次大戦前の日本では,日本資本主義が労働力の供給源としての農村における寄生地主制と不可分の関係で発展していったために,労働運動と,小作争議をおもな形態とする農民運動とが結合する客観的基盤が存在していた。労働組合と農民組合との指導者がしばしば共通していただけでなく,1926年以降展開する無産政党運動においては,当初から労働者階級と農民の結合が実践的課題とされた。戦後,農地改革で地主小作関係は解体し,農民運動も変化したが,独占資本の搾取収奪に反対する運動のなかで,労働組合と農民団体の提携が追求されている。とくに,58年総評の運動方針に〈労農提携〉が掲げられて具体的な運動となり,同年10月,総評と全日農共催により〈労農提携を進める中央集会〉が開かれ,各地で労農提携集会がもたれた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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