勝鬘経(読み)しょうまんぎょう

精選版 日本国語大辞典 「勝鬘経」の意味・読み・例文・類語

しょうまん‐ぎょう ‥ギャウ【勝鬘経】

仏典一巻。劉宋の求那跋陀羅の訳。勝鬘夫人(ぶにん)が一乗真実と如来蔵の理について述べ、それを釈迦が賛嘆したことを説いたもの。勝鬘
書紀(720)推古一四年七月(岩崎本室町時代訓)「天皇皇太子を請せて勝縵経(セウマンキャウ)を講(と)か令(し)めたまふ」

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デジタル大辞泉 「勝鬘経」の意味・読み・例文・類語

しょうまん‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【勝鬘経】

大乗経典。1巻。宋の求那跋陀羅ぐなばつだら訳。勝鬘夫人しょうまんぶにん仏陀の威神力を受けて一乗真実の道理如来蔵法身について説き、仏陀が賞賛してそれを是認する形をとる経典。在家得道の信仰を示した経典として重要。勝鬘師子吼一乗大方便方広経。

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改訂新版 世界大百科事典 「勝鬘経」の意味・わかりやすい解説

勝鬘経 (しょうまんぎょう)

大乗仏典の一つ。原題《シュリーマーラーデービー・シンハナーダ・スートラŚrīmālādevī-siṃhanāda-sūtra》。サンスクリット原典は失われ(断片は他書に引用されている),チベット語訳と2種の漢訳(求那跋陀羅(ぐなばだら)訳,菩提流支訳)が現存。広く用いられるのは求那跋陀羅訳《勝鬘師子吼一乗大方広方便経》である。本経は舎衛(しやえい)国波斯匿はしのく)王の王女勝鬘夫人の説法釈尊が承認するという形をとっており,在家女性の説法という点で特異である。思想的には,《法華経》を受けた一乗思想を高揚し,また,一切衆生煩悩にまとわれているが,本性は清浄無垢で如来の本性を備えていると説く(如来蔵説)。中国,日本で広く親しまれ,聖徳太子の《三経義疏》の一つ《勝鬘経義疏》など注釈も多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「勝鬘経」の意味・わかりやすい解説

勝鬘経
しょうまんぎょう

大乗仏教経典。釈尊の前で王妃の勝鬘夫人 (しょうまんぶにん) が大乗仏教の教えを説き,釈尊がそれを正しいものと認めるという筋書である。迷いの生活をおくる人の心のうちに存在する,仏陀たりうる可能性 (→如来蔵 ) を説き,また在家仏教を認める重要な経典。サンスクリット原典は発見されないが,いくつかの論書に一部分が引用され,原形を断片的に知ることができる。

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百科事典マイペディア 「勝鬘経」の意味・わかりやすい解説

勝鬘経【しょうまんぎょう】

大乗仏典の一つ。1巻。舎衛(しゃえい)国の波斯匿(はしのく)王の娘,勝鬘夫人が釈迦の神通力を受けて説いた経。一乗真実の理と如来蔵法身を説き,在家の信仰を鼓吹した。漢訳は宋の求那跋陀羅(ぐなばつだら)のものがあり,日本では聖徳太子作と伝える《勝鬘経義疏(ぎしょ)》がある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「勝鬘経」の解説

勝鬘経
しょうまんぎょう

インド大乗仏教中期の経典で,勝鬘夫人の悟りを説く
1巻。日本では,聖徳太子が『勝鬘経義疏 (ぎしよ) 』をつくったと伝えられている。

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世界大百科事典(旧版)内の勝鬘経の言及

【如来蔵説】より

…すべての人々は,如来を胎児として蔵しているという意味である。 この思想は,《如来蔵経》に始まり,《不増不減経(ふぞうふげんきよう)》や《勝鬘経(しようまんぎよう)》によって継承され,《宝性論(ほうしようろん)》にいたって組織体系化された。また,《涅槃経(ねはんぎよう)》(大乗)では,とくに〈仏性〉という語が用いられ,この思想が展開されている。…

※「勝鬘経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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