募集売出し(読み)ぼしゅううりだし

改訂新版 世界大百科事典 「募集売出し」の意味・わかりやすい解説

募集・売出し (ぼしゅううりだし)

証券用語で,募集は,新規発行証券の取得の申込みの勧誘で,その相手方適格機関投資家のみでなく,50名以上の場合等であり(証券取引法2条3項),売出しは,既発行証券の買付けの申込みの勧誘で,均一の条件で,その相手方が50名以上の場合である(2条4項)。

 最近2年間を通算してその金額が5億円未満の場合を除き,有価証券届出書を提出して大蔵大臣に届け出なければ,募集・売出しはできない(4条1項,5条1項)。募集・売出しの届出は,大蔵大臣が有価証券届出書を受理した日から原則として15日を経過した日に効力を生じる(8条)。募集・売出しによって投資者に有価証券を取得させるためには,募集・売出しの届出が効力を生じており(15条1項),かつ,有価証券届出書に記載すべき事項とほぼ等しい事項を記載した目論見書を投資者に交付する(15条2項)ことが必要である。なお,有価証券届出書は,大蔵大臣が受理した日から5年間,大蔵省に備え置いて公衆縦覧に供される。

 募集・売出しにおいては,大量の有価証券が処分されるので,これによって資金を調達するために特別の販売圧力が加えられる危険があるところから,投資者の保護のために,有価証券届出書の公衆縦覧および目論見書の交付による企業内容の開示ディスクロージャー)が要請される。有価証券届出書および目論見書の記載の正確性を確保するために,募集・売出しの届出後,大蔵省の係官がこれを審査するほか,それに不実の記載があるときは,有価証券の発行会社,その役員財務諸表に監査証明をした公認会計士または監査法人,引受証券会社および売出人は有価証券を取得した者に対し,その者がこうむった損害を賠償する責任を負う(18,21,22条)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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