(読み)くるめる

精選版 日本国語大辞典 「包」の意味・読み・例文・類語

くる・める【包】

〘他マ下一〙 くる・む 〘他マ下二〙
① =くるむ(包)(一)
一つにまとめる。ひとまとめにくくる。いっしょにする。ひっくるめる。〔文明本節用集(室町中)〕
③ 巧みにあざむく。籠絡(ろうらく)する。いいくるめる。ごまかす。
談義本・八景聞取法問(1754)一「小豆飯太神楽を舞せてくるめては」

くる・む【包】

[1] 〘他マ五(四)〙 巻くようにして、中につつみこむ。つつみ巻く。つつむ。
御伽草子・源蔵人物語(室町時代物語集所収)(室町末)「ふくさのものに、うつくしきひめぎみをくるみて、とめをきたるをみて」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒くるめる(包)

くるみ【包】

〘名〙 (動詞「くるむ(包)」の連用形名詞化)
① くるむこと。また、そのもの。
小児の抱き蒲団。おくるみ。

くくみ【包】

〘名〙 (動詞「くくむ(包)」の連用形の名詞化) つつむこと。また、つつんだもの。つつみ。
玉葉‐文治三年(1187)一一月八日「跪屏風下鎮子、二枚左手、二枚右手、各了てくくみに持之」

くるま・る【包】

〘自ラ五(四)〙 すっぽりと包まれる。
※御伽草子・源蔵人物語(室町時代物語集所収)(室町末)「いまだ、ちにくるまりたる、姫君に仰けるは」
※秋立つまで(1930)〈嘉村礒多〉「私は掻巻き代りの古マントにくるまり」

ぐるめ【包】

〘接尾〙 (動詞「くるめる(包)」の連用形から) =ぐるみ
浄瑠璃・心中天の網島(1720)上「侍ぐるめに小はる殿もらふた」

くく・む【包】

〘他マ四〙 大切につつむ。くるむ。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「生まれ給へる君をいと清くのごひて、御ほぞのを切りて、此のはかまにおしくくみて、かき抱き給ふ」

パオ【包】

〘名〙 (中国語から) アジア遊牧民の天幕式家屋支柱を用いずに、湾曲した梁を組み合わせて、その上をフェルトで覆ったもの。分解・組立てが簡単で移動に適している。ゲル。〔シベリヤ物語(1950‐54)〕

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デジタル大辞泉 「包」の意味・読み・例文・類語

ほう【包】[漢字項目]

[音]ホウハウ)(漢) [訓]つつむ くるむ
学習漢字]4年
中の物をつつみこむ。つつみ。「包囲包装包皮包容空包梱包こんぽう薬包
一まとめにする。ひっくるめる。「包括包含
(「」の代用字)料理。料理人。「包丁
[名のり]かた・かつ・かぬ・かね・しげ・ふさ
[難読]包子パオズ

パオ【包】

《〈中国語〉》モンゴルなどの遊牧民が用いる饅頭まんじゅう型をした組み立て式の家屋。骨組みを木で作り、その上をフェルトで覆う。ゲル。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「包」の意味・わかりやすい解説


ほう

苞とも書き、包葉(苞葉)ともいう。小包、総包片などを総括する広い意味に用いられることもあるが、普通、花序において腋(えき)に1個の花をつける葉的器官をさす。その腋花の花柄に葉的器官がついたとき、これを小包とよぶ。包は普通葉(茎葉)に比べて小さく、しばしば無柄となる。したがって、形も簡単になり、分裂や欠刻も浅くなるが、キンポウゲ属などでは逆に分裂が深くなることもある。花序のまとまりが弱ければ、普通葉は連続的に包に移行するが、花序がよくまとまっていれば、包は明らかに普通葉と区別され、極端な場合には退化、消失する。ブーゲンビレアなどでは包が大きく発達して着色し、花を包む。

[田村道夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「包」の意味・わかりやすい解説


ほう

包葉」のページをご覧ください。

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