北京伝道団(読み)ペキンでんどうだん

改訂新版 世界大百科事典 「北京伝道団」の意味・わかりやすい解説

北京伝道団 (ペキンでんどうだん)

中国,清代に北京在住のロシア人にロシア正教を伝道するためにロシア政府から派遣された宣教師団。1689年(康煕28)のネルチンスク条約により,それまでに清国に逃亡したり,アルバジンでの戦争で捕虜とされたりしたロシア人は本国へ送還しなくてよいことになったので,清朝政府は彼らを北京の北東隅のオロス北館に集住せしめた。これらロシア人の正教信仰を支えるため,1715年ロシア政府は清朝政府の特別の同意を得て掌院(アルヒマンドリト)イラリオン・レジャイスキーの一行を北京に派遣した。これが第1回北京伝道団である。27年(雍正5)のキャフタ条約によりこの北京伝道団は正式に認められて,29年に第2回北京伝道団が北京に来た。かくして1715年以来1949年の中華人民共和国の成立に至るまで合計20回の北京伝道団が派遣された。伝道団には留学生の参加も認められており,それらの中からロシアの中国学者が多数輩出した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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