北松浦半島(読み)キタマツウラハントウ

デジタル大辞泉 「北松浦半島」の意味・読み・例文・類語

きたまつうら‐はんとう〔‐ハンタウ〕【北松浦半島】

九州北西部にある半島。長崎県佐世保市と佐賀県伊万里市を結ぶ国見山系以西を占める。元寇げんこう倭寇わこうなどの史跡に富む。西岸はリアス式海岸で、西海さいかい国立公園の一部。

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日本歴史地名大系 「北松浦半島」の解説

北松浦半島
きたまつうらはんとう

県域北部の北松浦郡の北西部に突き出した半島。東部に国見くにみ山系が連なり、志佐しさ川・相浦あいのうら川・佐々さざ川が小規模な沖積平野を形成。海岸部には多数の入江があり、九十九くじゆうく島の多島海が広がる。佐世保させぼ市・北松浦郡と佐賀県境に連なる国見山系は国見山脈・西岳にしだけ山地・西ノ岳山系などとも称され、烏帽子えぼし(五六八・一メートル)木場こば(五一〇・一メートル)八天はつてん(七〇七・一メートル)・国見山(七七六・二メートル)などがある。

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百科事典マイペディア 「北松浦半島」の意味・わかりやすい解説

北松浦半島【きたまつうらはんとう】

九州北西部にあり玄界灘五島灘を分ける半島。佐賀県伊万里市と長崎県佐世保市早岐(はいき)を結ぶ構造線以西で,玄武岩流におおわれた山地,丘陵地からなる。基盤の第三系には佐世保炭田石炭層がある。海岸はリアス海岸を呈し九十九島が浮かび,西海国立公園に属する。
→関連項目江迎[町]小佐々[町]佐々[町]鹿町[町]世知原[町]田平[町]長崎[県]平戸[市]吉井[町]

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改訂新版 世界大百科事典 「北松浦半島」の意味・わかりやすい解説

北松浦半島 (きたまつうらはんとう)

九州北西部にある半島。佐賀県伊万里市と長崎県佐世保市早岐(はいき)を結ぶ有田川と小森川の両河谷から西へ広がる。行政的には佐世保・松浦両市を含めて,大部分が長崎県に属する。地形は第三紀層の上に玄武岩が広く分布する溶岩台地で,東部の国見山(777m)を最高に,西へしだいに高度を下げ,西端は九十九島(くじゆうくしま)の沈水海岸に移行する。溶岩台地は断層に伴う河谷の浸食によって,メサ状に数多くの台地に分離している。各台地の谷壁は,上部の玄武岩露出部分で急崖を,下部の第三紀層部分で緩斜面を形成し,両者の境界に豊富な湧水があって,この湧水点以下の緩斜面には棚田が発達する。同時にそこは地すべり多発地帯となっている。また第三紀層の佐世保層群中にある石炭を求めて,明治以降多数の坑道が開かれ,佐世保炭田が形成された。稼行炭鉱数は最盛時の1958年ころには98を数えたが,大部分が中小零細資本による採炭であった。1970年にはまったく姿を消し,炭鉱跡地には県外企業の繊維,衣服工業関係の工場が立地している。地域振興のため,園芸農業や栽培漁業などが行われている。西海岸は西海国立公園に含まれ,恵まれた自然と元寇や倭寇などの史跡を生かして観光開発が進められている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「北松浦半島」の意味・わかりやすい解説

北松浦半島
きたまつうらはんとう

九州本島の北西部にある半島。長崎県佐世保(させぼ)市早岐(はいき)と佐賀県伊万里(いまり)市を結ぶ線(有田川河谷)以西に広がる。北は壱岐水道(いきすいどう)に面し、西は平戸(ひらど)瀬戸を隔てて平戸島に対し、北東部に伊万里湾、南に佐世保湾の湾入がある。半島の東には国見山(くにみ)(最高峰776メートル)など南北に走る国見山地があり、山地は西方に向かってしだいに低くなり、九十九(くじゅうく)島の沈降海岸に終わっている。全域にわたり第三紀層の丘陵上に玄武岩が噴出した台地地形(北松(ほくしょう)溶岩台地)を示し、この台地はいくつかの断層によって切られ、志佐(しさ)川、佐々(さざ)川、江迎(えむかえ)川、相浦(あいのうら)川が発達し、北松溶岩台地はいくつかの台地に細分されている。それぞれの台地における上部の玄武岩は急崖(きゅうがい)、下部の第三紀層は山麓(さんろく)緩傾斜面をなし、両者の境界には湧水(ゆうすい)帯を生じ、緩傾斜面上には棚田(たなだ)が発達している。また、地すべりの多発地帯ともなっている。明治以来、第三紀層中の石炭を求めて北松炭田が発達したが、現在はまったく閉山している。半島は末羅国(まつらこく)の一部で、古代から対外的に重要な地域をなし、元寇(げんこう)や倭寇(わこう)などの史跡に富む。西岸は西海国立公園(さいかいこくりつこうえん)に含まれ、国見山は北松県立公園(ほくしょうけんりつこうえん)(長崎県立自然公園)に指定されている。

[石井泰義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北松浦半島」の意味・わかりやすい解説

北松浦半島
きたまつうらはんとう

九州の北西部を占める半島。玄界灘と五島灘とを分ける。大部分が長崎県,一部が佐賀県に属する。伊万里市と佐世保市早岐間の低地帯を境とし,筑紫山地に属する丘陵性の山地である。山地は古第三紀新第三紀層の上に玄武岩からなる低平な溶岩台地があり,両者の境界に沿って湧水地帯があり,古第三紀層に棚田が発達するが,ここは地すべり地帯となっている。古第三紀層の中に石炭が存在し,北松炭田(佐世保炭田)として採掘されたが,今日ではすべての炭鉱が閉山しており,農・畜産・水産業が中心。西端は山地が平戸瀬戸に沈降して九十九島とリアス海岸を形成し,西海国立公園に属する景勝地となっている。北方の伊万里湾北部沿岸と内陸の一部地域は北松県立自然公園に,東部の城山(伊万里市)一帯は玄海国定公園に属する。

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