北沙城漢墓(読み)ほくさじょうかんぼ(英語表記)Běi shā chéng Hàn mù

改訂新版 世界大百科事典 「北沙城漢墓」の意味・わかりやすい解説

北沙城漢墓 (ほくさじょうかんぼ)
Běi shā chéng Hàn mù

中国,河北省懐安県北沙城および懐安にある前漢代の古墓群。1941年,東亜考古学会により十数基の北沙城古墓群のうち3基が調査された。いずれも方墳で高さ4~7m,1辺20m前後の墳丘をもつ。第6号墓は地下6mに内法5.2m×2.5mの木槨を築く。南北に2棺あり北棺に昭明鏡と化粧刷毛,南棺に青銅笄とメノウ小玉が,槨内に多数の銅器,漆器,星雲鏡,帯鉤鎮子(ちんし)などがあった。前漢末期と考えられる。7号墓は墓坑内に若干の遺物が発見されたのみである。5号墓は造墓以前の竪穴群を検出したが,墓坑の有無は不明である。懐安漢墓群は4基のうち2基が1930年ころ調査された。1号墓は約3.3m×4.5mの木槨墓で,男棺に〈五鹿充印〉と刻した銅印,女棺に玉類,玳瑁(たいまい)製櫛と竹製品があり,槨内に多数の漆器と銅器があるほか棺前の台に衣服壁面の棚に旗があった。2号墓も木槨をもつが副葬品土器のみである。両墓とも前漢末期と考えられる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android