精選版 日本国語大辞典 「匹・疋」の意味・読み・例文・類語
ひき【匹・疋】
[1] 〘名〙
① 布帛、とくに絹織物の長さの単位。古くは四丈、令制では、小尺で五丈一尺または五丈二尺(幅二尺二寸)。広狭、材質、産地および時代によって変化があったが、二端を一匹とするようになり、江戸時代寛文五年(一六六五)に、鯨尺二丈六尺を一端、五丈二尺を一匹と決めた。現在は、鯨尺六丈(約二二・八メートル)で、幅九寸五分を標準とする。
② 銭を数える単位。十文(もん)の称。銭一貫文が百疋にあたる。中世、近世を通じて儀礼的な場合や贈答の際に用いた。明治に入り、明治四年(一八七一)、新貨条例により、一両が一円、一分が二十五銭となった。そこで百疋は二十五銭(一疋は二厘五毛)に置き換えられることになり、旧式の儀礼を踏襲する場合には、昭和初期まで一部にこの単位が用いられた。
[2] 〘接尾〙 動物・昆虫・魚などの数を数えるのに用いる。もとは馬や牛など獣類にいったが、次第に小動物にもいうようになった。上に来る語によっては「ぴき」「びき」となる。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「御むま四十疋」
※宇治拾遺(1221頃)一三「大なる犬一ぴき出できて」 〔書経‐文侯之命〕
き【匹・疋】
〘接尾〙 (「ひき(匹)」の変化した語か)
① (「ぎ」とも) 人を数える語か。
※古事記(712)上「愛しき我が邇妹(なにも)の命を、子の一木(ひとつぎ)に易へつるかも」
② (「ぎ」とも) 馬を数える語。
③ 布帛の長さの単位に用いる語。ひき。和歌では「木」と掛けて用いられることが多い。
※後撰(951‐953頃)秋下・三八七「幾きともえこそ見わかね秋山のもみぢの錦よそにたてれば〈壬生忠岑〉」
[補注](1)②の「書紀」の例、前田本では「擬」を「ケ」と訓んでいる。
(2)③の語源を「きる(切)」の語根とする説(大言海等)もある。
(2)③の語源を「きる(切)」の語根とする説(大言海等)もある。
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