医師会(読み)イシカイ

デジタル大辞泉 「医師会」の意味・読み・例文・類語

いし‐かい〔‐クワイ〕【医師会】

医師で構成する団体。日本医師会日本歯科医師会など。

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精選版 日本国語大辞典 「医師会」の意味・読み・例文・類語

いし‐かい ‥クヮイ【医師会】

〘名〙 医事、保健衛生の改良発達をはかり、医師の権利を守るために医師によって構成される社団法人組織の団体。第二次世界大戦以前は医師法によって定められた公共団体

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改訂新版 世界大百科事典 「医師会」の意味・わかりやすい解説

医師会 (いしかい)

文字からは,なんらかの目的をもって結成された医師組織を意味するが,より現実的には,社会における医療の特別な機能や役割を考慮して,医療レベルの維持とその倫理的な遂行を保証するために,医療における医師の権限を強化することを正当化する制度的組織と理解される。

医療は人間の生死にかかわるものと期待され,しかも自ら適切に対処できない病人が,その苦痛から解放されるために,専門家としての医療者を求めるが,医療者の,知識,技能,そして良心はあらかじめ判断できない。そこで医療者は,彼らより上位の権威教会または国など)の保証を受けるか,結社をつくり,集団の名において会員の資質,行為を保証するか,あるいは,その両者によって,信頼を受くべき根拠とする。つまり,そのような集団の構成員のみが信頼するに足るものであることを公的に宣言することによって,医療業務の独占を正当視させるのである。このようなモデルとしてしばしば参照されるのは,ヒッポクラテスHippocratēsがその会員であった古代ギリシアの医療者組織アスクレピアドAsclēpiadeである。彼らは医神アスクレピオスの権威を背にすると同時に〈ヒッポクラテスの誓い〉によって入会を許され,この職業にかかわる知識,技能を会員外に教えないことのほか,いくつかの基本的倫理を守ることを要求された。それゆえにアスクレピアドの会員は世の厚い信頼を受けたとされるのである。ただし,医療に関する知識や技術は多面的であるため,結社の一元化,つまり医師という名の医療者による医療の独占は容易でなく,世界的に,おおむね19世紀中ごろまで待たねばならなかった。比較的古くから結社ができたのは,床屋外科医と薬種商である。それぞれ手工業や商業のギルドと同じ形式で業務独占ができた。内科系の医療者の場合,よるべき知識,技能を特定しにくいために同じ方式はとれなかった。中世末期から大学が各地に誕生し,それらが医師の養成機関になったのは,大学は知識を授受するための結社universitasであり,そこでの課程の修了者に,人を教える権利であるドクター称号を付与できたからである。一方,地域で医業を行っていた医師たちは,同じころからコレギウムcollegiumという名の結社をつくり,国または教会の権威を背に,非会員の医業を制限しようとした。この両者の利害は衝突するので,協定するか,合同することで一元化をはかろうとする運動がおこるが,19世紀には,自由主義的雰囲気が支配的で,このような閉鎖的集団の承認を困難にした。しかし,医療の公的性格がしだいに強く認識され行政の関与する部分が大きくなるにつれ,医師集団の協力を得る必要があり,一方,医師集団も,それに対処する必要性がより強くなった。

最初に国単位での統一医師会を結成したのはアメリカである。それまでも各州ごとに,医師免許権をもつようになっていた州医師会は,1847年合同してアメリカ医師会となってから,医学教育,各種医療関連職の資格規準の策定,病院規格,専門医制度の設定など医療のあらゆる面で発言権を獲得し,強力な政治的圧力団体となった。イギリスでは,58年の医師法によって非医師の医業からの締出しには成功するが,医師免許権をもつ医師団体や学校はまだ一元化されてはいない。ドイツでは,69年に統一医師法が施行され,73年,ドイツ医師会はドイツ医師を公的に代表する機関となった。

日本では,1887年組合法によって各地に医師会の結成がはかられるが,多分に上意下達的性格がつよかった。その後,漢方医団体の復権運動,公的病院との競合,医薬分業などで医師たちは結集し,1906年医師法を成立せしめ,統一組織としての大日本医師会が生まれた。第2次大戦後,アメリカ占領軍の指導で,47年に新制日本医師会が発足したが,医学会をも傘下に入れることで,任意加盟の組織ながら,発言力を増し,とくに社会保険診療報酬をめぐっては,厚生省や健康保険組合連合会と対立し,圧力団体の典型とされた。
医学
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百科事典マイペディア 「医師会」の意味・わかりやすい解説

医師会【いしかい】

日本医師会

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